全日空とアリタリア、アライアンス越えて提携-再建支援はなし
全日空(NH)とアリタリア-イタリア航空(AZ)は3月23日、包括提携契約を締結した。AZが運航する成田/ローマ、ミラノ線と、それぞれの国内線で10月28日からコードシェアを実施し、マイレージプログラムについても提携する。観光に注力する両国で拡大する渡航需要を獲得することがねらいで、NHにとってはベトナム航空(VN)に続くアライアンスの枠を超えた提携となる。NHはスターアライアンスに、AZとVNはスカイチームに所属する。
23日に都内で開催した調印式でNH常務執行役員の藤村修一氏は、「御縁があり、半年前に提携に向けた検討を始めた」と説明。その上で、スターアライアンスが加盟会社同士の提携を強く求める一方で、他の加盟会社が認めればアライアンス外の会社との提携にも寛容であることや、このほど開催された会議でも満場一致でAZとの提携が認められたことなどを伝えた。
藤村氏は、イタリアが年間日本人旅行者数40万人を超える欧州でも有数の人気デスティネーションであること、近年は訪日イタリア人旅行者数も増加傾向にあり、昨年には約13万人にまで増加したことなどを説明。今後のさらなる交流拡大に期待した。NHによるイタリア路線開設の計画はないというが、2月に発表した中期経営計画でも目標の1つとして示した、手薄の南欧エリアの需要獲得が可能になる。
なお、NHは1995年12月に関空/ローマ線を開設し、直行便およびフランクフルト経由便、ミラノ経由便で運航していたが、収益が伸びず99年3月には運休。日本航空(JL)も現在はイタリア線を運航していないため、AZは現在、日本/イタリア間を定期運航する唯一の航空会社となっている。2018年夏ダイヤでは成田/ローマ、ミラノ線をそれぞれ1日1便運航する。
AZ最高戦略・オペレーション執行役員のイラチ・マッシモ氏は「国内線や以遠のヨーロッパ線も日本人に使っていただけるようになる」と期待を示した。なお、AZは昨年5月に経営破綻した後は、イタリア政府の支援により運航を継続。現時点で再建支援者は決まっていないとされるが、NHによる出資の可能性を問う質問については「今回の提携はあくまでも最初の1歩で、出資に関する計画はない」と強調。藤村氏も「出資を前提とした提携ではない」と否定した。
マッシモ氏はそのほか、関空/ローマ線の再開や羽田線開設への関心を問う質問については「将来的に考えたい」と回答。スカイチームを脱退してスターアライアンスに加盟する考えはないとした。