JTBとシンガポール、キャンペーンで目標超える12万人送客
JTBとシンガポール政府観光局(STB)は2月28日、昨年4月から今年の3月末まで実施中の「シンガポール・デスティネーション・キャンペーン」の報告会を開催した。両社は昨年2月にMOUを締結後、送客強化と認知度向上に向けた取り組みを開始。JTBによれば業務渡航を除く個人旅行・団体旅行・MICEで計9万人の送客を目標としていたところ、2月15日時点の総送客数は目標比36.8%増・前年比約75%増となる12万3110人に上った。JTB代表取締役社長の高橋広行氏(高ははしご高)は「当初の目標を大きく上回る実績を残すことができた」と喜びを示した。
STBによれば、17年にシンガポールを訪問した日本人旅行者の数は前年比1.1%増の79万2813人。長官のライオネル・ヨウ氏は「JTBの幅広いネットワークを通じて、地方都市でのプロモーション展開や、団体旅行などに対する取り組みを多岐に渡って強化できた」とJTBに感謝の意を表明した。そのほか、本誌の取材に応えた北アジア局長のマーカス・タン氏は「共同で新商品を開発したことで、シンガポールの新しい魅力が生まれた」と共同キャンペーンの成果をアピールした。
報告会ではJTBワールドバケーションズ代表取締役社長の生田亨氏と、STB日本支局長の柴田亮平氏が1年間の取組を報告。キャンペーン商品として「ルックJTB シンガポール航空で行く キラキラ!わくわく!シンガポール」を造成し、2月19日までに目標の5000名を大きく上回る6100名を送客したことなどを紹介した。そのほかには、JTB独自のコンテンツとして開発した2階建てのオープントップバスを貸切運行する「キラキラ夜景バス」の2月12日までの延べ乗車人数が1万7500名、運行本数が目標比61本増の411本となったこともアピール。最も好調だったという法人団体旅行は、送客人数が2月10日時点で前年比60%増に増加したという。
加えて、社員教育の強化にも取り組んだことを説明。STBと共同で研修旅行やセミナーなどを積極的に実施したほか、STBが提供した販売マニュアルやポスターなどの販促ツールを活用したことについても述べた。生田氏は「リアルエージェントとしての実力を発揮した施策だった」と振り返り、高橋氏も「社員のスキル向上による販売力の強化は、JTBとSTBの双方にとって大きな財産」と強調した。
共同プロモーションではテレビ、新聞、雑誌、オンラインメディアなどを幅広く活用。そのほか女性向けのイベントを開催し、家族向けにはオリジナルの絵本を制作して店舗などで配布した。これらの取り組みは、広告費に換算すると約2億900万円に上るという。なお、JTBはMOUの締結時に、本誌の取材に対して業務渡航も含む送客目標を11万人に設定したこと明らかにしていたが(関連記事)、この日は業務渡航を含む総数については明らかにしなかった。
両社の協力関係は今後も継続する方針で、JTBは「キラキラ夜景バス」を引き続き運行。そのほかセントーサ島の新たな観光素材の開発にも取り組む。社員研修旅行も続ける方針で、JTB広報室によれば18年度は「前年並みかそれ以上の送客をめざす」という。
なお、タン氏によれば18年の日本人旅行者数は、シンガポール航空(SQ)が5月に関空線にB787-10型機を導入することなどにより17年を上回る見通し。今後はJTBを含むリアルエージェントやOTA、航空会社との関係強化に取り組むほか、今秋にはシンガポール観光大使の斎藤工さんが主演を務める映画「ラーメン・テー」の公開に合わせて、ピーアールを強化する。