タイ、17年の日本人は7%増、今年は新コンセプトで多様性訴求

  • 2018年2月11日

ペッスワン氏(中央) タイ国政府観光庁(TAT)は2月9日、都内で記者会見を開催し、新しいマーケティングコンセプト「Open to the New Shades(新しい色合いへのいざない)」を発表した。TATはすでに昨年11月から同コンセプトに基づく全世界キャンペーンを展開しており、タイでの多様な体験をFITを中心に広く訴求する考え。2017年の訪泰日本人旅行者数は前年比7.3%増の154万4328人で過去最高を記録し、推定消費額も9.7%増の約225億円に上ったが、今年は6.8%増の165万人、4.4%増の235億円をめざす。

 TATマーケティング・コミュニケーション担当副総裁のタネース・ペッスワン氏は、「キャンペーンでタイの多様性を強調し、新しい側面を皆様に発見していただきたい」と意欲を示した。ファーストタイマーについては学生やミレニアル世代、女性などをターゲットとし、リピーターについては「同じ土地で異なる体験をするなど、新しい角度でタイを楽しんでほしい」という。

 具体的には、各地の食や自然、ビーチ、芸術、工芸品、宗教や祭りなどの多様さををアピールする考え。同氏は「バンコクなど主要な観光都市に加えて『第2の都市』をアピールしたい」と話し、一例として、チェンマイと同都市の南に位置するランプーンやランパーンを組み合わせたコースを提案した。

 今後はタイ国際航空(TG)などの機内やTATのウェブサイトなどで新たなプロモーション動画を配信。ラジオを活用したピーアールも検討する。旅行会社には専用のロゴを配布して、旅行商品の造成を促進。また、会見ではテーマソングも披露し「消費者に聞いてもらい、タイへの想像力を働かせてもらうことで送客につなげたい」と説明した。5月に代々木公園で開催する、毎年恒例の「タイ・フェスティバル」などでアピールする。

 TAT東京事務所マーケティングマネージャーの藤村喜章氏は、今後の日本市場での活動について説明。18年の目標の達成に向け、女性、学生、ファミリー、ウェディング、スポーツをテーマにプロモーションを実施する考えを示した。女性向けには昨年と同様に「乃木坂46」を観光大使に任命して動画などを訴求。「これまではあまり焦点を当ててこなかった」というファミリー向けには、ホテルのキッズクラブなど、子供向けのサービスの豊富さをアピールする。

 藤村氏は本誌に対しては、昨年10月に国際民間航空機関(ICAO)がタイに対する「重要な安全性の懸念(SSC)」を解除したことにより、タイ・エアアジアX(XJ)が新千歳/バンコク(スワンナプーム)線を開設するなど、座席供給量が増加していることに喜びを表明。「FSCもバンコク線の増便などを実施しており、旅行会社にとって商品造成の良い機会になるのでは」と期待を示した。