観光庁とJNTO、欧米豪ターゲットに大規模キャンペーン、動画で訴求
観光庁と日本政府観光局(JNTO)は2月6日、欧米豪市場を主なターゲットとする全世界的な訪日促進キャンペーン「Enjoy my Japan」を開始した。頻繁に海外を旅行するが、日本を旅行先として意識していない「訪日無関心層」に対し、これまでアピールしてきた富士山や桜、寺社仏閣などではなく、野外アクティビティや現代アートなどを中心に動画で訴求する。また、訪日外国人のFIT化を受け、キャンペーンサイトで、ユーザーが質問に回答するとオリジナルの動画を作成できるコンテンツ「パーソナライズドムービー」も提供する。
同日に開催した発表会で、観光庁長官の田村明比古氏は、2017年も訪日外国人旅行者数は大きく伸びたものの、欧米豪からの旅行者は全体の約11%にとどまったことを説明。「昨年は初めて300万人を上回ったが、まだまだ満足できない」と語り、「質の高い観光先進国をめざす我々にとっては、所得水準が高く、旅慣れて目が肥えた旅行者が多い欧米豪市場で選ばれる旅行先になることが重要」と強調した。
JNTO理事長の松山良一氏は「20年の訪日旅行者数4000万人、消費額8兆円の目標達成に向け、ビジネスだけでなく、観光やバケーションでの滞在先としての日本の魅力を訴える。JNTOとしてはキャンペーンに総力を上げて取り組みたい」と意気込みを語った。
JNTO特別顧問で今回の動画作成に携わったデービッド・アトキンソン氏は「全世界の海外旅行者12億4000万人のうち、アジアへの旅行者は全体の25%に過ぎない。(訪日旅行には)大きな伸びしろがある」と説明。今回の動画については「歴史や文化以外の美しい自然やアクティビティなど、日本の多様性を全世界にアピールしたい」と話した。
キャンペーンの開始にあたり、JNTOは昨夏に欧米豪のうち主要6市場と位置づけるドイツ、英国、フランス、米国、カナダ、豪州の計3万3000人を対象にアンケートを実施。このうち抽出した「訪日無関心層」に対し、旅行の際に興味・関心があることなどを調査し、調査結果から「Tradition」「Cuisine」「City」「Nature」「Art」「Relaxation」「Outdour」の7種類のテーマを設定した。
キャンペーンでは各テーマの動画を制作。外国人の監督を起用して「外国人目線」を心がけたという。キャンペーンサイトでは全10本を公開しており、今後は種類を増やす予定。加えて、欧米豪市場を中心にYouTubeやFacebook、Instagram、各国のテレビ放送、トレードショーなどでも放映する。そのほか、旅行会社に提供してプロモーションへの活用を促す。
なお、この日の発表会では在日外国人によるトークショーを実施。アトキンソン氏や、群馬県などでアウトドアアクティビティを提供するキャニオンズの代表取締役のマイク・ハリス氏、タレントのデーブ・スペクター氏、女優のナタリー・エモンズ氏らが登壇し、日本の多様な魅力を語った。
▽キャンペーンサイトhttps://www.enjoymyjapan.jp/en/
▽プロモーション動画