エジプト、日本市場での展開を加速-「早期に13万人」
エジプト政府観光局はこのほど、同局参事官地域ディレクターのイスマイル・アブドルハミド・アメール氏の再来日に伴い、メディア向けの懇親会を開催した。同局は10月末のエジプト航空(MS)の成田/カイロ線再開を受けて、日本市場での活動を加速しているところ。9月にセミナーと商談会のために来日したばかりの同氏は、今回は旅行会社約10社を訪問したほか、懇親会の数日後には急遽、日本旅行業協会(JATA)との意見交換も実施した。
同観光局は、今秋には日本での広報活動と旅行業界向けの窓口業務をアビアレップス・マーケティングに委託し、本格的にピーアール活動を再開。9月末には東名阪でセミナーと商談会を開催し、計250名を集客している。今回の懇親会でアメール氏は本誌に対し、「回復傾向にある日本人訪問者数を早期にピーク時の約13万人に戻す」と意気込みを語り、旅行会社やメディアの協力のもと、魅力と安全性をアピールする方針を示した。
日本政府観光局(JNTO)などによると、エジプトを訪れる日本人旅行者の数は10年にはピークを迎えたものの、「アラブの春」が起こった翌11年は前年比78.1%減の2万7635人にまで減少。12年は41.2%増の3万9008人となったものの、その後の政変などで13年は20.1%減の3万1181人、14年は60.4%減の1万2352人と減少を続けた。しかし15年は31.1%増の1万6169人増加に転じ、以後はチャーター便の運航などにより、16年は15.1%増の1万8643人、17年は1月から6月までの累計で127.0%増の1万7768人と増加傾向にある。17年は通年では3万人強にまで回復する見通し。
アメール氏は18年については、今般のMSの運航再開や、今年10月から来年3月末まで、国際チャーター便などを運航するエジプトのエア・レジャー(AL)が成田発ルクソール行き、カイロ発成田行きのチャーター便を週1便で運航する予定であることなどから、17年の見込み訪問者数の約2倍にあたる6万人をめざす考えを示した。「日本市場は我々にとって引き続き重要な市場であり、投資を続けていきたい」という。
日本市場については今後、エジプトの文化や歴史に加えて、シャルム・エル・シェイクなどビーチリゾートでのマリンスポーツなども訴求し、MICEの取り込みもめざす考え。MICEについては、先ごろシャルム・エル・シェイクで3000名規模の国際会議を開催したことなどを紹介した上で「日本にもエジプトへのMICE需要はあるはず」と期待を示した。旅行業界向けには、来年にJATAと共同でファムトリップを実施する予定で「ツーリズムEXPOジャパン」にも引き続き出展するという。
このほか、同氏は観光地や空港、ホテルなどについては、引き続き警備のための人員を増強し、最新の機器を導入するなどしてセキュリティ強化に取り組んでいることを説明。懇親会に出席した駐日エジプト大使のアイマン・アリ・カーメル氏も、11月24日にシナイ半島北部のアリーシュ市のモスクでテロ事件が発生したことに触れ、「アリーシュ周辺は日本人などの外国人観光客がほとんど訪れない地域」と語り、一般的なエジプト観光とは無関係であることを強調した。