HIS、17年度は増収増益-20年度に営利1000億円めざす
▽18年度はハワイなどに注力、店舗は専門店化を促進
18年10月期の連結業績では、売上高は21.3%増の7350億円、営業利益は13.1%増の180億円、経常利益は1.8%増の200億円、当期純利益は24.6%減の100億円を予想する。売上高は旅行事業が好調に推移するとともに、前期にM&Aで期中から加わったミキグループなどが年間を通じて寄与することなどから2桁増になる見通し。純利益は為替差益が減少する見通しのため、2桁減を見込む。旅行事業単体では、売上高、営業利益ともに25%増をめざす。
12月8日に開催した決算発表会で、同社代表取締役会長兼社長(CEO)の澤田秀雄氏は「海外旅行市場は伸び始めており、悪くない状況」と期待を示した。今後は収益性の高い欧州と、ハワイに注力する考えで特にハワイは「大きく伸ばし、他社を引き離してNo.1をめざしたい」と意欲を語った。このほか、チャーターを積極的に販売することで利益を伸ばす方針。国内旅行については沖縄に注力する。このほか、法人・団体旅行も強化する。
海外事業では、アジア発の海外旅行市場の旺盛な需要を積極的に取り組む。澤田氏は「世界全体を市場と見れば、旅行事業はしばらくは2桁成長できる」と語り、「アジアで勝てば、いずれは世界一の旅行会社になれる」とコメント。その上で、「世界で戦うためには、売上高は1兆円以上必要」と話し、旅行事業、ハウステンボスグループ、ホテル事業に加え、今後は電力販売事業のHTBエナジーなどの新規事業も柱とし、20年までに売上高1兆円、営業利益1000億円の達成をめざす考えを示した。
旅行商品の販売チャネルでは、海外旅行の売上高の26.3%を占める、インターネット販売を強化。AIを活用してオペレーションの自動化をはかり、人的コストの削減をめざすとともに、予約システムの利便性の向上などにも取り組む。一方、売上高の53.4%を占める店舗販売については、「人海戦術で店舗を展開する時代は半分終わった」とコメント。各店舗を国やテーマに特化した専門店化するとともに、富裕層やシニア層などの取り込みをめざす。
ホテル事業では、「変なホテル」を現在の3軒から、3年から4年以内に100軒まで増やす目標。澤田氏はハウステンボス内の1号店について、「売上高8億円に対し利益は5億円程度ある」と説明し、生産性の高さを強調。「各ホテルは平均で2億円前後の利益が出る見通し」と語るとともに、今後は上海や台湾など海外にも開業する予定を紹介した。なお、同社は来年3月までに、12月15日に開業予定の「変なホテル東京 西葛西」を含め、東京、福岡、大阪、京都に計10件を開業する計画を発表している。
このほか、同氏は今後、ハウステンボスを若手の経営陣に任せ、HISの経営に注力する方針を改めて説明。HISで電力販売事業などを含む全部門を統括するとともに、社員の待遇の改善に取り組むことで、社員の士気を高めていく考えを示した。