ガルーダ、バリ線復調に意欲、XTとは「棲み分け可能」
ガルーダ・インドネシア航空(GA)は11月8日、インドネシア共和国大使館でメディア向けのセミナーを開催した。本誌の取材に応えた日本・韓国・アメリカ地区総代表のフィクダネル・タウフィック氏は、9月から活発化しているバリ島東部のアグン山の火山活動が、観光に大きな影響を与えていることについて述べた上で、10月末には警戒レベルが最高の4(危険)から3(警戒)に引き下げられたことを説明。「日本人にはぜひGA便でバリ島に行ってほしい」とアピールした。メディアや旅行会社に対しても、旅行者にバリ島の正確な情報を伝えるよう協力を求めていくという。
GAは成田からB777-300ER型機、関空からA330-300型機で、デンパサールにそれぞれ1日1便を運航している が、10月から12月までの予約においてはすでに約3000名のキャンセルが発生。タウフィック氏は「火山は空港から75キロメートルも離れており、火山灰による影響はない」と述べるとともに、「日本人は旅先の安全に敏感だが、バリ島は安全に観光できる」と強調した。旅行会社には「ツアーの造成は勿論だが、まずは旅行を検討しているお客様に、正確な情報を伝えてほしい」と呼びかけた。
タウフィック氏はそのほか、インドネシア・エアアジアX(XT)が5月に開設した成田/デンパサール線についても言及。GA便への影響についてはコメントを控えた上で「安い運賃に興味がある人はLCCを利用すると思うが、サービスを重視する人も多い。棲み分けは可能では」と述べた。
あわせて同社がスカイトラックス社の「ベストキャビンクルー賞」を14年から4年連続で受賞し、インドネシアの航空会社では唯一、国際航空運送協会(IATA)の運航安全監査(IOSA)認定を取得している点もアピール。同路線の飛行時間が7時間近いことを説明した上で、「機内にいる時間は長いので、快適さが重要になる。FSCならではのサービスをアピールしたい」と語った。
17年冬ダイヤについては、引き続きデンパサール2路線に加えて、羽田/ジャカルタ線を1日1便、関空/ジャカルタ線を週3便で 運航することを説明。期間中の増便や新規就航は計画していないことも伝えた。18年夏ダイヤ以降については、「需要さえあれば、需要の低い市場の路線を運休してでも日本路線を増やす」とコメント。15年に就航を延期したままの中部/ジャカルタ線については、「(実現の)可能性がないわけではない」と語るにとどめた。
インドネシア観光省によれば、16年の日本人訪問者数は前年比2.9%減の51万3297人で、このうち45.5%にあたる23万3387人がバリ島を訪問した。今年1月から8月までの累計は5.5%増の36万56人となっている。会場で本誌の取材に応えた同事務所代表の成田忠彦氏は、日本人訪問者数がXTの就航で増加傾向にあるとし、「火山の影響でグループのキャンセルはあるが、FITは引き続き訪れている。今年は60万人を達成できるかもしれない」と話した。今後は11月末をめどに、メディアを対象にバリ島へのファムツアーを実施する計画という。
このほか、懇親会ではインドネシア共和国大使館の公使参事官を務めるエコ・ジュノル氏が、来年が日本とインドネシアの国交樹立60周年であることを紹介。「バリ島以外もぜひ訪れてほしい」と語り、インドネシア東部のマルク諸島をアピールした。GA東京支社旅客営業部課長広報PR担当の篠奈美氏は、進行中のジャカルタのスカルノ・ハッタ国際空港の拡張計画などについて説明。そのほか世界遺産のボロブドゥール遺跡などがあるジョグジャカルタについて「日帰りのツアーが多いが、ぜひ1泊してもらいたい」とアピールした。