アイルランド、「ハロウィーン発祥の地」をアピール

  • 2017年10月30日

バリントン氏。左にあるのはカブで作ったランタン  アイルランド大使館はこのほど、メディア向けに「アイルランド&ハロウィーン・セミナー」を開催した。冒頭で挨拶した大使のアン・バリントン氏は、10月31日のハロウィーンの由来が古代アイルランドのケルト人の祭り「サウィン」にあることを説明。本誌の取材には「サウィンが日本のお盆に似ていることをアピールし、日本人に興味を持っていただきたい」と話した。今後はハロウィーンに加えて、毎年3月17日のキリスト教の祭り「セント・パトリックス・デイ」などもアピールし、日本での同国の認知度の向上をめざす。

 セミナーでは、アイルランド伝承文学研究家の渡辺洋子氏と、アイルランド出身のジャーナリストのJ・J・オドノフー氏が、ハロウィーンの由来やアイルランドでのハロウィーンの過ごし方について紹介。10月31日には死者の魂や妖精が現世にやってくるため、異界に連れ去られないように仮装を始めたこと、19世紀のジャガイモ飢饉から逃れるために米国に移住したアイルランド人がかぼちゃでランタンを作り、現在のハロウィーンを世界に広めたことなどを説明した。アイルランドではカブをくり抜いてランタンを作り、水に浮いたリンゴを口で取り出して遊ぶという。

▽来年は予算増の方針、日本事務所再開に向けた検討も

セミナー終了後にはハロウィーンにちなんだ料理を試食。写真は「バームブラック」と呼ばれるパウンドケーキで、指輪や布の切れ端などを入れて焼き、運勢を占う  アイルランドを訪問する日本人は年間2万人程度だが、今年の8月にはクラブツーリズムが成田/ダブリン間で初のチャーターツアーを実施し、約230名を送客。バリントン氏は「来年も継続してもらえるよう、旅行会社に働きかけている」と意欲を示した。加えて、2013年に日本事務所を閉鎖したアイルランド政府観光庁について言及した上で「18年は日本向け予算を増やす方針と聞いている」と伝えた。

 なお、日本旅行業協会(JATA)がこのほど駐日欧州連合(EU)代表部で実施した、EU加盟20ヶ国による大規模商談会には、同国政府観光庁から中東・アジア局マーケティング担当のシボーン・ノクトン氏が参加。本誌の取材に応えたノクトン氏は、日本事務所の再開について「予算次第だが、再開に向けて検討を進めている」と語っている。