5年目のダイヤモンド・プリンセス、日本発着クルーズ
乗るたびに新しい体験、外国船で日本を巡る唯一無二の旅行に
クルーズの魅力にはまる理由
今回のクルーズは、横浜を出港後、終日航海日を経て油津・釜山・境港・敦賀・秋田に寄港し、終日航海日の後に横浜に戻る8泊9日間。日本を時計回りに一周するダイナミックな旅程は、従来の旅行商品ではなかなか見られない。グラッソ氏は「日本人のお客様にとって寄港地選びが重要であることは理解している。我々はいつも魅力的な寄港地を探している」と、寄港地の多さやコースの多様性も同船ならではの特徴としてアピールする。
今回のクルーズでは、6日目の敦賀が初寄港地。当日は、明治時代から続く「敦賀まつり」と重なったことから、敦賀市が寄港時間にあわせて宵山巡業の時間を早め、乗客が祭りを楽しめるようにした。敦賀市にとっても外国の大型客船の寄港は初めてのこと。港などでは地域の文化体験イベントやステージが開かれ、乗客にとっても印象深い経験となったようだ。
また、今回はクルーズのリピート率の高さを実感する出来事が多くあった。乗船中に多くのリピーター客に会ったが、必ずと言っていいほど「次はいつ乗るの?」と聞かれるのだ。当然、彼らは次回の予約済みだ。プリンセス・クルーズの日本発着をきっかけにクルーズに乗船し、「体が楽だから」「従来のツアーにはない体験ができる」「毎回違う楽しみがある」と、1年に2度、3度参加する人も珍しくない。
「クルーズはもっと高齢になってからという人もいるが、それはもったいない。どの年代でも今しかできない旅行があり、船内や寄港地の過ごし方が変わるはず」と話す乗客の考え方は、同意すると同時にとても印象に残っている。
なぜ、こんなにリピーターが多いのか。それは、次回のクルーズを特典付きの割引価格で予約できる「船上予約」にある。申込後、乗船客は支払いなどの残りの手続きをいつもの旅行会社でおこなう。つまり、プリンセス・クルーズのリピート施策は、各旅行会社の顧客獲得にもつながる仕組みなのだ。
すでに販売が始まっている18年度の日本発着クルーズは、さらにコースのバラエティを拡充。「紅葉」や「祭り」、「明治維新150周年」など、季節や歴史文化的なテーマにも触れながら、新寄港地として国内では四日市や酒田、鳥羽、岩国、石巻、海外ではベトナムのカイランを組み込む。クルーズが一般的になってきたとはいえ、日本市場全体から見れば経験者はまだほんの一部。旅行会社も「専門知識が必要」というイメージを払拭し、この販売チャンスをいかしたい。
取材:山田紀子