ICAO、タイの「安全性の懸念」解除へ、新路線など可能に
タイ民間航空局(CAAT)によると、国際民間航空機関(ICAO)による「重要な安全性の懸念(SSC)」の認定が10月中にも解除される見通しだ。SSCは、ICAOが実施する安全監査の基準に満たない国に対する認定で、欧州委員会(EC)や米連邦航空局(FAA)、国土交通省航空局などは、SSC認定された国の航空会社について、路線の新規開設や増便などを制限しているが、解除されれば再び路線の開設などが可能になる。
CAATによればICAOは9月末に、改めてCAATに対する調査を実施。その結果、10月6日にカナダのモントリオールで開催した会議の後、ICAOのウェブサイトではタイについてSSC認定を示す「レッドフラグ」が削除されている。ICAOは今月内にもCAATに公式の報告書を提出し、SSCを正式に取り下げる予定という。
CAATはレッドフラグの解除について「タイが航空の安全レベルに関する課題を処理し終え、より国際的に受け入れられるレベルに進むことを意味する」とのコメントを発表。今回の結果は、国の関係機関や航空会社に加えて、技術面で支援した日本やフランス、英国、欧州連合(EU)などの協力によるものであることを説明し、謝意を示している。
ICAOは2015年1月に、タイ政府に対して航空の安全上の課題を指摘。その後は協議を続けたものの、同年6月には公式ウェブサイト上にレットフラグを掲出してSSCを認定した。CAATはその後、SSCの解除に向けて航空会社の安全基準に関する審査などを強化。今年の6月にはICAOに対して解除を申請した。なお、CAATは今年2月、バンコクエアウェイズ(PG)がICAOの安全基準を満たしたとして空港運航者証明書(AOC)の再認定を実施。現在は同国の11社がAOCの再認定を受けている。
本誌の取材に応えたタイ国際航空(TG)は、「国土交通省の今後の対応を注視する」とコメント。タイ国政府観光庁(TAT)は、「新千歳など、地方空港への就航をタイのLCCが検討している」と伝え、日泰間の座席供給量の増加に期待を示した。
なお、国土交通省航空局は、現在はタイ国籍の航空会社の新規就航認可を中止し、すでに就航している航空会社の増便やチャーターについては、安全性を確認した上で、就航実績がある路線と機材で運航する場合に限り認可しているところ。今後については「ICAOが報告書を提出後、その内容を確認し、問題なければ制限を撤廃する」と説明している。