JATAなど、バス事故再発防止に向けEXPOでも説明会
日本旅行業協会(JATA)は「ツーリズムEXPOジャパン2017」の業界日の9月22日、観光庁などの協力のもと、会場内で「貸切バスの運賃・料金制度等と国内募集型企画旅行における貸切バス会社名の表記に関する説明会」を開催した。昨年1月の軽井沢スキーバス事故を受けて産官学で検討した再発防止策の周知徹底に向け、JATAは昨年12月と今年1月にも会員向けに説明会を開催しているが、非加盟の旅行会社や地方自治体の担当者向けにも説明することが目的。この日は観光庁、国土交通省、JATAから担当者が登壇した。
観光庁観光産業課専門官の山下太郎氏は、昨年6月に国交省が取りまとめた再発防止策の概要について説明。運送申込書に運賃の上限と下限額、引受け手数料の額・率などを記載すること、旅行募集広告などに貸切バス事業者名を表示することなど、新たなルールを紹介した上で「これらは『安全運行パートナーシップ宣言』にも明記された本来は“当たり前”のことで、『できない』という言い訳は聞きたくない」と強調した。そのほか通報窓口の設置など、処分の厳格化を含む各種対策が盛り込まれていることについても述べた。
旅行会社に向けては「長年の商習慣の見直しに取り組むべき」と呼びかけ、「下限割れ運賃は旅行会社と貸切バス事業者の双方が処罰対象となる。貸切バス事業者は旅行会社のパートナーと認識すべき」と説明。また「運行終了後には実際の時間と距離を再確認して精算を。旅行会社は旅程管理のプロなのだから把握していないようではおかしい」と釘を刺した。そのほか、先のてるみくらぶの破綻を例に挙げて「安値競争では二の舞になる。付加価値を高めることで利用者はついてくるはず」と提言した。
国交省自動車局からは、旅客課バス産業活性化対策室課長補佐の浪川健治氏が登壇し、旅行会社がウェブサイトなどで貸切バス事業者の安全情報について記載することなどを要望した。浪川氏は、「一般消費者が旅行を計画する際に活用する旅行会社のウェブサイトは訴求力が高い」と述べた上で、日本バス協会が安全性を認めた事業者に与えている「SAFETY BUS」の認定マークをアピールすることなどを提案。エイチ・アイ・エス(HIS)などのウェブサイト紹介した上で「これからマークを載せるところは、ぜひ国交省に連絡を。載せ方などについて協力したい」と呼びかけた。
最後に登壇したJATA法務・コンプライアンス室副部長の内山信夫氏は、広告と取引条件説明書への貸切バス会社名の表記について、旅行会社が留意すべきポイントを説明。表記は国内募集型企画旅行の広告と説明書において必要であること、主要な交通機関に乗り継ぐための観光を伴わない送迎については表記を省略できること、一方で観光施設などへの移動については表記が必要であることなどを紹介した。詳細についてはJATAが昨年11月に改定したガイドラインを確認するよう求めた。