エジプト、17年は日本人倍増へ、成田線再開に期待-関空も
エジプト政府観光局は9月28日、都内で旅行会社向けの観光セミナーとワークショップを開催した。エジプト航空(MS)が10月29日から週1便で運航を再開することを発表して以来、初めての大規模セミナーで、26日には名古屋、27日は大阪でも実施。来日した同局参事官地域ディレクターのイスマイル・アブドルハミド・アメール氏は「今年に入り日本人旅行者数は前年の約2倍と強い回復基調にある」と説明し、本誌に対しては「前年の2倍にあたる3万5000人から4万人をめざしたい」と意欲を示した。直行便再開の追い風を受けて、滞在日数の長期化と旅行商品の多様化をめざす考えで、日本向けには前年比50%増の予算を当てているという。
アメール氏によれば、日本人旅行者数は2010年にピークとなる約13万人を記録したが、11年の「アラブの春」以降は低迷し、14年は1万2352人まで減少。しかし15年は前年比31.1%増の1万6169人、16年は15.1%増の1万8643人まで回復し、17年については1月から6月までの累計では127.0%増の1万7768人と、「半年でほぼ16年を上回る勢い」という。
一方で、17年の平均滞在日数は16年の6.9日から6.07日に減少。このことに対して同氏は「新しい観光素材を紹介し、滞在日数を7泊まで伸ばしたい」と考えを語った。具体策としては、人気のカイロやルクソール、アブシンベルなどに加えて、紅海沿いのリゾート地のシャルム・エル・シェイクやハルガダ、西側の砂漠エリアなどを訴求するとともに、「定番のカイロでも旅行会社が商品化していない素材」である、旧市街「オールド・カイロ」の教会やモスク、エジプト近代美術館、オペラハウスなどもアピールする。
治安面については、外務省が現在、海外安全ホームページでカイロやアレキサンドリアなどの主要観光地の危険レベルを1の「注意喚起」に引き下げていることを強調。「16年以降は、レベル1の(比較的安全な)スポットが増えている。日本政府はエジプトに対する信頼を高めている」との見方を示した。加えて、政府機関が通常通り機能し国内情勢が安定していること、空港や観光地、ホテルなどはセキュリティ体制を強化していることも説明し、「ここ数年はテロ事件が皆無だったわけではないが、これは世界中の国でも言えること。エジプトは他国を凌駕する綿密な安全対策を取っていると約束できる」とアピールした。
今後は旅行会社と共同でプロモーションを積極的に展開する考えで、日本旅行業協会(JATA)とのファムツアーも実施する計画。消費者向けにはウェブサイト上での広告キャンペーンをおこなうほか、日本の美術館やイベントなどとのタイアップも予定する。なお、9月には日本でのピーアール事務所としてアビアレップスを指名している。
▽MSは増便に意欲、関空線再開も
セミナーではこのほか、MSの日本地区総代理店(GSA)を務めるレジェンドリーグス本部長の川崎恵一(※崎の右上は立)氏が登壇し、「MSは2010年には週6便を飛ばしていた。エジプトへの需要は十分にある」と強調。成田線の予約は順調で、搭乗率は70%から75%に上るとの見込みを示した。
なお、同氏は本誌の取材に答え、将来的には関空線を復便し、日本/エジプト間を2路線で計週7便にまで増便したい考えを説明。関空線については「日本路線の復便を検討する際、カイロ/関空/成田線を運航するアイデアもあった」と語り、再開への意欲を見せた。