日本旅行、17年上期は売上維持も損失拡大、人件費増など
日本旅行が8月25日に発表した2017年12月期中間期(17年1月1日~6月30日)の連結業績で、営業収益(純額)は前年比0.1%減の248億9900万円だった。営業損失は3億1400万円増の8億1900万円、経常損失は2億3300万円増の4億2400万円、当期純損失は6600万円増の2億8000万円となり、営業収益こそ前年並みだったが、各利益は赤字幅を拡大した。営業費用は1.1%増の257億1800万円だった。
営業収益については、国内企画旅行の「赤い風船」の販売拡大に注力したものの前年並に。営業損失と経常損失については、地方創生関連事業に携わる社員を増員したこと、社員のモチベーション向上に向けて賞与を増やしたことなどにより拡大したという。純損失も6600万円増加した。
日本旅行単体では、販売高(総額)は3.2%増の1965億2600万円、営業収益(純額)は0.6%減の211億5100万円、営業損失は4億5200万円増の7億7900万円、経常損失は4億8300万円増の5億6100万円、当期純損失は1億2900万円増の3億3000万円となった。
海外旅行の販売高は5.8%増の556億2600万円、営業収益は2.4%増の41億800万円。企画旅行についてはテロ事件が発生していなかったスペイン、ベトナム、カナダ、オセアニアを重点化した結果、販売高は8.8%増の142億2000万円となった。団体旅行は企業の報奨旅行や語学研修などに取り組んだが、販売高は3.7%減の94億6600万円に。国際航空券などの単品販売は、海外出張需要の回復により8.5%増の288億9300万円となった。
国内旅行の販売高は1.4%増の1219億2300万円、営業収益は0.1%減の138億500万円。企画商品はJRセットプランの販売を強化したほか、「赤い風船」45周年の記念商品などに注力した結果、販売高は0.8%増の429億900万円となり、5年連続で上期の過去最高を記録した。団体旅行はMICEや教育旅行などを強化したことにより、販売高は4.0%増の338億4800万円に。JR券や国内航空券などの単品販売は、高速バスのインターネット販売などが増加し、0.5%増の417億600万円となった。
訪日旅行などの国際旅行の販売高は13.0%増の187億5700万円、営業収益は17.0%増の26億8100万円。中央省庁や地方自治体などへの営業を強化したほか、海外の旅行会社との連携強化、宿泊施設や貸切バスなどの仕入れ強化などに取り組んだ。
通期の連結業績予想は、当初予想を据え置き、営業収益は1.6%増の538億円、営業利益は26.7%減の10億2000万円、経常利益は19.2%減の16億3000万円、当期純利益は4.3%減の10億9000万円とした。日本旅行単体では営業収益が2.7%増の467億円、営業利益が21.0%減の5億5000万円、経常利益が23.6%減の8億6000万円、当期純利益が31.2%増の5億3000万円。
同社秘書広報部によれば、「上期は目論見通りに推移しており、業界環境は厳しいが、販売拡大に取り組むことで当初予想を達成できる」との考え。8月中旬にスペインで発生したテロ事件や、北朝鮮問題などの影響については「旅行者数の大きな落ち込みはなく、予約についても減少していない。海外旅行の回復傾向は変わらない」と語った。