田村長官、自治体ツアーの業法適用外は「業界に影響なし」

  • 2017年8月17日

田村氏  観光庁長官の田村明比古氏は8月16日の業界紙向け会見で、このほど同庁が自治体による夏休みの子供向けツアーや、ボランティア団体などによる災害時のボランティアツアーに関して、一定の要件を満たせば旅行業法の適用外とする通知を発出したことについて「事前に旅行業界団体と相談したが、『民業圧迫だから反対』という話はなかったと認識している」と語った。あわせて「これまで旅行会社が実施してきたものを止めさせて、旅行会社以外に担っていただくわけではない」と強調し、「旅行業界に大きな影響は与えないと考えている」と総括した。

 自治体によるツアーについては、「これまで問題なく実施していたツアーに対して『業法違反ではないか』との指摘があった。業法の解釈に迷うことから、ツアーの実施を自粛する動きがあった」と振り返り、通知については「旅行業法上の解釈を明確にした」と説明。ボランティアツアーについては、旅行会社にも造成を求める考えを示した一方で「ただし旅行会社ではすべてのニーズに対応しきれていない」との見方を示し、緊急性や公益性の観点から「ボランティア団体のバスツアーの役割も重要」と語った。

 田村氏によれば、現在は自治体などからの問い合わせを受けて、Q&A集を作成しているところ。近日中に各自治体に通知するとともに、観光庁のウェブサイトにも掲載するという。田村氏はQ&A集について「内容をわかりやすく伝え、誤解が生じないようにしたい」と話した。

 なお、日本旅行業協会(JATA)は通達の発出を受けて、会員各社に自治体が関与するツアーや災害時のボランティアツアーの依頼を受ける際の注意事項を説明。オーガナイザーが、それぞれのツアーが旅行業法に抵触していないことを都道府県に確認していることを確かめた上で、受注型企画旅行または手配旅行として依頼を受けるよう求めている。

 そのほかには「通訳案内士法及び旅行業法の一部を改正する法律」の施行日が、1月4日に決定したことについても言及。新設する「地域通訳案内士」の資格制度やランドオペレーターの登録制度について、8月中を目処に各運輸局で説明会を開催することを明らかにした。ランドオペレーターの登録受付については1月4日を待たず、準備が終わった各都道府県から、順次開始するという。