週間ランキング、1位は関空旅客数、「自治体ツアー」に懸念も

[総評] 今週1位は、関西国際空港の2017年上半期における国際線旅客数についてまとめた記事でした。以前からお伝えしている通り、関空の旅客数となると突然関西圏からのアクセスが急増する傾向にあり、この記事も同様の結果となりました。

 もちろん、地域性の高い記事にその地域からの注目が集まるのは当然なのですが、どうも他地域より、そして他の記事よりもその傾向が強い印象です。例えば先週木曜日に掲載したカンタス航空(QF)による関空/シドニー線の記事は、十分に話題性が高いと思われるにも関わらず週間ランキングにも入っておらず、必ずしも関空の話題であれば増えるというわけではなさそうです。

 地域の話題というと、少し前に関西で働く大手旅行会社の社員の方とお会いしたのですが、その方が「トラベルビジョンに期待するのは関西の話題ではなく、東京で何が起きているかの詳細だ」という趣旨のお話をされていたことがとても印象に残りました。

 これまでは、地方の読者数を増やすには地方の情報を充実させるのが一番の手であると捉えていたのですが、「地域のことならば自分たちの方がよく分かっている」という自負心には思い至りませんでした。もちろん需要がないというわけではないのでしょうけれども、ご満足いただける情報を出すために必要な体制など諸々考えなければならなさそうです。

 さて、今週のランキングで気になったのが第3位の記事です。最近、自治体が実施してきた子供向けツアーなどが旅行業法に違反する恐れがある、という報道が続いていましたが、今回の記事は観光庁がこうしたツアーは規制の適用外であると判断して都道府県に通知したことをお伝えしました。

 個人的には、そこに旅のニーズがあるならば旅行会社に活躍してほしいと常々考えており、その視点からすれば民業圧迫ではないのかと疑念を持ってしまいます。

 取材に対して大手各社は頓着しない様子でしたので私の感覚がずれているのかもしれませんし、先ほどの地域の話ではありませんが、地方自治体が実施するツアーの現状を詳しく知りませんのであまり大げさなことをいうべきではないでしょう。しかし、少なくとも結果的にそういった判断となるにしても、旅行業法を土俵として生きている旅行会社が意見を述べるパブリックコメントのような機会もなく決まってしまうのはどうにも納得ができません。

 もちろん、別の角度から考えると、「関連法令について確かな知識を持ち、旅行の安全の確保と目的の達成が実現していることを判断できる責任者を置くこと、事故発生時の損害賠償に備えて損害賠償責任保険に加入すること」といった条件が明示されたということは、旅行のプロへの外注を後押しするかもしれません。

 そのためにも、あるいは逆にそうならなかったとしても、旅行会社の提供する旅行と自治体のそれとを比較して「やっぱりプロは違う」と評価していただけることが重要なのではないかと思います。(松本)

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2017年07月28日0時~08月04日18時)
第1位
関空、上半期の国際線旅客は9.5%増、韓国・香港増便で(17/07/30)

第2位
元1種の旅人舎が破産、JATAが弁済の案内開始(17/08/02)

第3位
自治体ツアーなど業法適用外に-地域の旅行会社に影響も(17/07/31)

第4位
てるみWGが再発防止策取りまとめ-弁済制度のみ検討継続(17/08/02)

第5位
Ctrip、日本の海外旅行市場に本格参入、マーケティング強化(17/07/30)

第6位
JATA、新たに8社が入会、3社退会-7月21日付(17/07/31)

第7位
香港エクスプレス、中部/グアム線に就航へ、10月から(17/08/01)

第8位
デルタ、日本地区の旅行会社担当本部長に海貝氏(17/08/02)

第9位
ジェットスター・アジア、11月から那覇/SIN線、週3便で(17/08/01)

第10位
トップインタビュー:日本アイラック代表取締役の国原秀則氏(17/08/02)

※除外した記事(本来は10位以内にランクイン)
フィリピン マニラ/フィリピン全土禁煙化実施に伴う各ホテルの対応について(17/07/28)
人事、KNT-CT部長級(17/07/31)