ANAHD、1Qは増収大幅増益、ピーチ連結子会社化で
ANAホールディングス(ANAHD)の2018年3月期第1四半期(17年4月1日~6月30日)の通期連結業績で、売上高は前年比11.7%増の4517億1900万円、営業利益は80.0%増の254億3800万円、経常利益は132.5%増の247億7600万円、純利益は668.4%増の510億6900万円となった。売上高は、国際線が旅客・貨物ともに好調だったことや、今期からピーチ・アビエーション(MM)を連結子会社化したことなどにより、2桁増で過去最高に。営業利益と経常利益も2年連続で第1四半期の最高記録を更新した。経常利益は為替差損の改善などで2.3倍に、純利益はMMの連結化で338億円の特別利益を計上した結果、7.7倍となった。営業費用は整備費や燃油費の増加などにより、9.2%増の4262億円だった。
ANAHD執行役員グループ経理・財務室長の福澤一郎氏は8月3日の会見で、全日空(NH)の国際線を中心とする航空事業の好調について「当初の計画と比べると営業利益は100億円増加しており、このうち95億円が売上高の増加によるもの」と説明。95億円の内訳は、国際線と国内線がそれぞれ30億円、貨物が35億円を押し上げたという。
航空事業の売上高は13.1%増の3968億円、営業利益は83.7%増の231億円で、MMの連結子会社化により売上高は約120億円、営業利益は約5億円増加した。国際線の旅客数は5.4%増の224万6922人で、旅客収入は13.1%増の1394億円。北米線や欧州線を中心に日本発のビジネスクラス需要が好調だったこと、テロの影響を受けていた欧州線のレジャー需要が回復したこと、増加する訪日外国人旅行者を取り込んだことなどにより、旅客数・旅客収入ともに前年を上回った。座席供給量を表す有効座席キロ(ASK)は7.8%増、旅客輸送量を表す有償旅客キロ(RPK)は8.9%増で、利用率は0.7ポイント増の73.7%。客単価は7.3%増だった。
国内線の旅客数は5.8%増の1035万3277人で、旅客収入は2.7%増の1546億円。ビジネス需要やゴールデンウィーク期間の販売が堅調に推移したほか、需要に応じて各種割引運賃を設定したことなどにより、旅客数・収入ともに前年同期を上回った。ASKは0.1%増、RPKは5.7%増で、利用率は3.4ポイント増の64.5%。客単価は3.0%減だった。
マイレージ附帯収入や整備収入、バニラエア(JW)、MM、機内販売収入などで構成する航空事業の「その他の収入」は40.7%増の472億円。MMの旅客数は118万6000人で、利用率は85.8%だった。JWの旅客数は45.9%増の65万1000人で、利用率は1.7ポイント増の84.8%。空港の地上支援業務などの「航空関連事業」の売上高は7.3%増の658億円で、営業利益は72.8%増の42億円だった。
旅行事業は売上高が6.4%増の363億円、営業利益が13.1%増の6億円。海外旅行はハワイ方面の好調など、国内旅行は九州地震からの回復などにより、ともに増収となった。一方、訪日旅行は競争激化により台湾で取扱高が減少したことなどから減収となった。このほか、商社事業は売上高が2.6%減の335億円、営業利益が8.2%減の9億円だった。
なお、通年の連結業績予想については修正せず、売上高は8.2%増の1兆9100億円、営業利益は3.1%増の1500億円、経常利益は0.3%減の1400億円、純利益は26.5%増の1250億円のままとした。福澤氏は予想値を据え置いた理由については「下期に何があるか読めないので状況を見極めていきたい」と語り、第2四半期については夏の繁忙期を含めて堅調に推移している旨を伝えた。