週間ランキング、AY大規模FAM1位、サプライヤーの「期待」持続を

[総評] 今週の1位は、フィンエアー(AY)がフィンランド政府観光局と共催したFAMツアーのレポートでした。タイトルの通り60名以上の方が参加されるFAMツアーで、ご友人やお知り合いなども多くご覧いただけたのかもしれません。

 AYのメガFAMは今年で3回目となる試みで、チーム分けをして別々の場所をめぐり、最後に各チームで相互にプレゼンテーションを実施するのがユニークなポイントです。

 「旅行業界」経由での需要の喚起や獲得に投じられる予算は、例えば観光局や航空会社、ホテル、オペレーターなどがそれぞれの戦略に基づいて確保しているもので、なかでもFAMツアーはセミナーやワークショップと並んでメジャーな使途といえるでしょう。

 日本だけで1年あたり一体どれだけのFAMツアーが実施されているのかわかりませんが、相当な回数でしょう。確かに「百聞は一見にしかず」というように、実際に目や耳、肌、舌など五感で受け止めた情報があるのとないのとでは、営業にせよ企画にせよ販売にせよ天と地ほどの差があるはずです。

 もちろん、なんでもそうでしょうけれども、すべてのFAMツアーが理想的に運営されて理想的な成果をもたらしているなどということはありません。よく耳にするのは「せっかく来てもらった担当者が異動してしまう」というもので、あるいは最近はさすがに減ったのかもしれませんが、「経理など関係ない部署の人が来て“ご褒美”のようになってしまう」といった声も聞かれました。

 GoogleやFacebookが莫大な広告収益を手に入れている世の中ですが、いうまでもなくインターネット広告の大きな利点は「効果が見えること」です。より効果の高い分野に予算を配分するのは当然のことであり、旅行業界の投資対効果が低ければそういった機会も減っていくのは必然です。

 そうしたなかで投資を続けていただけることはありがたいことであり、少なくともその時点では期待を維持できているという証明でもあります。FAMに限らずAYのようなユニークな取り組みが各所に広がるとともに、旅行会社側も期待に応えてより大きな効果を生み出し、さらなる業界の発展につながってほしいものです。

 ちなみにトラベルビジョンとしても様々なかたちで国内外の取材旅行にお招きいただいており、私自身も色々な場所にお邪魔していますが、最も重要であると考えているのは「次もこの人に来てほしい」と思われるようにすることです。

 最初は個人ではなく会社で呼ばれるわけですが、参加するのは個人であり、個人としての印象が残らないとすれば何もしなかったに等しいと考えます。会社にとっても、そのような個々人の強さの蓄積が組織の強さに繋がるはずですし、また例えばどこかで今とは違う道を歩まなければならなくなったとしても、そしてそれが旅行業でなかったとしてもきっと良い糧になるはずです。

 話がやや逸れましたが、そういった取り組みや熱意のようなものが顕在化していかなければ、日本の旅行業界向けの活動は「コスパが悪い」と捉えられ縮小していきかねません。折しも週刊トラベルジャーナル誌で観光局の撤退について特集が組まれていたところですが、業界関係者(特に現場レベルの)がそういった流れに対して「自分は関係ない」「残念だなあ」などと悠長に構えているとすれば、強い危機感を覚えます。

 第6位の記事でも触れていますが、旅行業界に可能性があるとしても、それは他人任せで実現するようなものではありません。先ほどの話にも通じますが、突き詰めていえば関係者一人ひとりの行動の帰結であるはずです。(松本)

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