日本航空、10月末からのロンドン線増便は業務渡航に期待
日本航空(JL)代表取締役社長の植木義晴氏は7月12日に開催した記者会見で、1日1便で運航中の羽田/ロンドン(ヒースロー)線と成田/バンコク(スワンナプーム)線を、10月29日から1日2便化することを発表した(関連記事)。増便は「旺盛な需要に応える」もので、植木氏は「お客様の利便性向上に資するネットワークを構築する」と意欲を表明。ロンドン線については日本発のビジネス需要を、バンコク線は双方向のレジャー・ビジネス需要の取り込みをめざす考えだ。両路線ともに運航機材は「JAL SKY SUITE」を搭載したボーイングB787-8型で、ビジネスクラス38席、プレミアムエコノミークラス35席、エコノミークラス88席。
JLが羽田/ロンドン線を1日2便化するのはこれが初めてで、既存便と同様にブリティッシュ・エアウェイズ(BA)とコードシェアをおこなう計画。取締役専務執行役員路線統括本部長の菊山英樹氏は「以前から増便したいという気持ちがあったが、ヒースロー空港の発着枠の調整などでようやく増便が可能になった」と喜びを示した。現在の同路線の搭乗率は80%台後半で推移しており、乗客の7割から8割程度が日本発で、特にビジネス需要が好調という。パリやマンチェスターなど欧州の各地で発生しているテロ事件の影響については「皆無ではないが、顕著な影響が出ているとは認識していない」と話した。
増便分の羽田発便は、深夜に出発して早朝に到着するスケジュールとし、日本人が長く英国に滞在できるように配慮。旅行会社のパッケージツアー利用者などを含むすべての乗客は、搭乗前に羽田空港の「サクララウンジ」を利用して軽食を取ることができ、出発直後から睡眠を取ることができる。また、仕事帰りの利用を見込み、3月24日までは事前予約者を対象に、空港近くの温浴施設「平和島温泉」を無料で利用できるキャンペーンも実施する。
バンコク線の増便は3月24日までの期間限定で、JLは昨年度も12月23日から3月25日にかけてダブルデイリー化を実施したところ。菊山氏は「強い需要があるため、増便しても十分な収益性が見込める」と自信を示した。同氏によれば、現在は乗客の6割が日本発で、4割がタイ発。
一方でJLはこの日、デイリー運航中の成田/ソウル(仁川)線を3月25日から運休することも発表した。搭乗率は70%から80%程度で推移しているが、LCCとの競争が激化し、収益性が低下しているという。
▽地方発国際線の拡充にも意欲、「訪日支援空港」に関心
JLについては、国土交通省が12年に発出した、投資や新規路線開設などを制限する「日本航空の企業再生への対応について」(8.10ペーパー)が、今年3月末で失効したところ。同社はその後、4月に羽田/ニューヨーク線の運航を39年ぶりに再開したほか、9月からは成田/メルボルン、コナ線を運航する計画を発表している。
菊山氏は今後の路線展開については、20年までの4ヶ年の中期経営計画で、東南アジア/北米間の乗継需要の増加などに取り組んでいることを説明。「期待に応えるべく、路線網を成長させていきたい」と語った。植木氏は、このほど国土交通省が地方の27空港を「訪日誘客支援空港」として認定したことについて言及。「国際線着陸料の割引が大きい。地方空港が国際線を誘致する1つのきっかけになるので、(増便や路線開設を)検討していきたい」と期待を示した。