現地レポート:南アフリカ、海と陸のサファリで新たな魅力
大都市ダーバンはビジネス客も楽しい
「ビッグ7」の待つポートエリザベス
大自然と都市の魅力を兼ね備えた南アフリカは、アフリカの中でも独特の地位を築いている観光国だ。5月に開催された「INDABA(インダバ)2017」前後に、開催地のダーバン、そして東ケープ州の沿岸の街ポートエリザベスを訪れ、周辺の観光素材を取材した。
インドの香り漂う大都市ダーバン
5年間のINDABA開催で整備に期待
南アフリカ東海岸に位置するダーバン。重要な港を擁するこの街は、人口ではヨハネスブルグに次ぐ同国第2位の大都市だ。1年中海水浴が可能なビーチを有することでも知られ、海岸沿いにはリゾートホテルが建ち並ぶ。いわゆる観光都市ではないが、INDABAをはじめ国際会議や展示会の開催地として、ビジネス需要は高い。
この街を特徴づけるキーワードのひとつが、「インド」だ。英国統治時代、労働者として多くのインド人がこの地に移住した歴史があり、今なおインド系住民の割合が高い。おのずと街にはインドの文化を伝える店が多く見られ、アフリカ大陸にあってインドの香りが楽しめる場所となっている。
特にビクトリア・ストリート・マーケットは、まさにインドの香りを漂わせるスポットだ。2階建ての建物には、アフリカらしい土産物や布地を売る店にまじって、スパイスの量り売りの店などインド系の店が充実。スパイスは、好みに合わせて調合してもらうことも、小量での購入も可能で、なかには「マザー・イン・ロー・エクスターミネーター」なる物騒な名前の付いた激辛ミックススパイスもあった。
インド料理店はもちろんのこと、多くのレストランでメニューに並んでいるのが名物料理「バニーチャウ」。食パンの中心をくりぬいてカレーを詰めたもので、インドからの移民が発明したといわれる。店によって味が異なるため、食べ比べも一興だろう。
また、市中心部の西側には世界各国の植物を集めた植物園もある。英国植民地時代の1849年、農作物の栽培実験のために開設されたものだが、現在は、現存するアフリカ大陸最古の植物園として知られている。特別天然記念樹は80以上に上り、その多くは樹齢100年以上。広い芝生の庭や巨木などが配された公園には野鳥が多く生息し、市民の憩いの場ともなっている。
このほか、沈船を模した水族館や大型の水槽で泳ぐサメを見ながら食事ができるレストラン、ショッピングモールなどが集まったテーマパーク「ウシャカ・マリンワールド」も市の中心から近く、ビジネス旅行の隙間時間に気軽に足を伸ばせる。
今年のINDABAで、クワズールー・ナタール州が今後5年間のINDABA開催地に選出されたことが発表された。これはつまり、22年までダーバンでの開催が続くということだ。クワズールー・ナタール州観光局最高執行責任者(COO)のピンディーレ・マクワクワ氏は「5年間の開催が決定したことで、インフラ整備に投資しやすくなる」と語り、ダーバン・ツーリズム代表のフィリップ・シトーレ氏は、海岸遊歩道整備を進めることを明らかにした。この街のさらなる発展に期待がかかる。