関空でCAPAのLCCサミット開幕-「複雑化する市場」に対応

  • 2017年6月13日

サミットの様子  オーストラリアの航空関連シンクタンクであるCAPA-Centre for Aviation(CAPA)による国際会議「CAPA LCCs in North Asia Summit 2017」が6月13日、関西国際空港内の「ホテル日航関西空港」で開幕した。2日間にわたり航空会社約40社や空港会社、OTA、GDSなどが、LCCの抱える課題や空港との関係性、増加するビジネス需要などについて議論するもので、13日には登壇者を含め300人超が参加した。CAPAは04年からLCCをテーマにした国際会議を世界各国で開催しており、日本での開催は3回目。昨年は成田で開催している。

関西エアポートの山谷氏  冒頭に登壇した、ホストを務める関西エアポート代表取締役社長の山谷佳之氏は、サミットの開催に喜びを示すとともに、関空が今年の1月末にLCCターミナルを拡張したことを説明した。加えて、関空におけるLCCのシェアが国際線の39%、国内線の57%にまで増えていることを説明し、「今後もLCCの成長基盤となるべく、需要の動向に適切に対応し、アジアの航空ネットワークの発展を支えていきたい」と意欲を示した。

CAPAのピアース氏  この日はCAPAマネージング・ディレクターのステファン・ピアース氏が現在のLCCの市場環境について解説。トピックとして消費者におけるLCCの認知度が高まる一方で国際的な規制やスロット不足などの課題があること、LCCのアライアンスが発展しつつあること、直販やGDS経由など販売戦略が多様化してきていることなどを挙げ、「市場環境は複雑化している」と話した。加えて「北アジアにおけるLCCの普及率は約20%で、東南アジアの約50%とは大きな差があるが、その分、北アジアには大きな成長の可能性が残されている」と述べた。

CAPAのホールトン氏  CAPA北アジア担当シニアアナリストのウィル・ホールトン氏は、全世界の航空市場においてLCCが占める割合について説明。東南アジアでは16年の52%から17年には51%に減少した一方、北東アジアについては11%から13%と引き続き成長が続いており、特に中国での成長が著しいことを伝えた。

 日韓線におけるLCCの割合については、15年の29%から16年は37%へと大きく増えており、17年第1四半期について51%へと成長してることを説明。その上で「ロードファクターはFSCよりも高く、より多くの旅客を運んでいて喜ばしい」と語った。


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