豪クイーンズランド政観、日本局長にポール・サマーズ氏
オーストラリアのクイーンズランド州政府観光局(TEQ)は6月5日付けで、日本局長にポール・サマーズ氏を任命した。サマーズ氏は2009年までTEQの前身であるクイーンズランド州政府観光公社でマーケティングマネージャーを務めた後、酒類の製造や販売を手がけるペルノ・リカールに転職。今回の着任で8年ぶりに観光産業に復帰したことになる。
サマーズ氏は、8年前の転職時に「いつか戻ってきたいと考えていた」といい、日本局長の公募と自身の「改めてオーストラリアとの関係を強くしたい」と考えた転機のタイミングが重なったと説明。前任の西澤利明氏が作り上げたパートナーとの関係を維持、深化し、誘客を強化していきたいと意欲を示した。
日本人訪問者数は、09年に20万5000人であったところから16年は18万9000人と減少しているものの、前年比の増減率では09年が24%減であったのに対し、16年は25%増と真逆のトレンド。
現在の好調さは航空座席の増加や欧州からの需要シフトが背景にあり、一過性のブームの可能性を危惧する声もあるが、これに対してサマーズ氏は「油断は禁物」としつつ、優れた観光素材を備え現地の受け入れ体制も整っているなどオーストラリアの魅力が再発見された可能性を語った。
今後の方針としては、まずはクイーンズランド州各地の現状や市場動向の把握に努め、半年程度をかけて中長期的な戦略を策定する。その際には、前職で得たデジタルマーケティングなどの知見を有効に活用したいという。また、前職ではブランディングを中心に手がけていた経験も踏まえ、「もう少しオーストラリアのライフスタイルに焦点を当てる」ことも必要とした。
なお、5月14日から18日にかけてシドニーで開催された現地商談会「AUSTRALIAN TOURISM EXCHANGE(ATE)」では、関係者から「日本人以上に日本人。市場をよく分かっている」、「業界外で得た力を発揮してもらえる」など、復帰を歓迎する声が多く聞かれた。西澤氏も、「私と同じことをするのではなく、時代に即した新しい動きをやりたいようにやってほしい」と期待を語っていた。