アマデウス、出張向け新ツールの提供開始、精算までを管理
アマデウス・ジャパンは6月6日、法人向けの出張予約・管理ソリューション「Amadeus cytric Travel & Expense」の日本での提供を開始した。同サービスは海外では約3年前から提供しているもので、出張の計画から航空券などの予約、出張後の経費精算までを一元的に管理できるもの。同社はこれまでにも出張管理ソリューションとして「Amadeus e-Travel Management」などを提供してきたが、出張後の経費計算までを管理するサービスは初めてという。日本では三菱ふそうトラック・バスが最初に導入した。
同日に開催した記者会見で、アマデウスアジアパシフィックのプレジデントを務めるアルバート・ポゾ氏は、「アジアは世界の旅行市場の中心で、成長を牽引する地域であり、なかでも日本は重要な市場」と強調。「我々のサービスは旅行前の検索や予約、旅行中から旅行後の体験までを1つのサイクルとしてつなぐ」と語り、出張者がパソコンやモバイル端末を利用して旅行を予約する傾向が強まるなか、数年前から継続して技術革新のための投資を強化してきたことを語った。
アマデウス・ジャパン代表取締役社長の竹村章美氏は、2015年の日本企業の出張経費の合計が7兆2000億円以上に上り、世界第4位の規模であることを説明。近年の日本のBTMについては「昨今の国際情勢から企業の危機管理に対するニーズが高まっており、そのためにはすべてのデータを一元的に管理する必要がある」と話した。
さらに、業務渡航関連の国際組織「グローバル・ビジネス・トラベル・アソシエーション(GBTA)」による昨年6月の調査の結果を引用し、日本の出張者のうち出張の内容に満足している人は48%にとどまることを紹介。「日本の出張者は出張規定がわかりにくい、安心・安全が確保されていない、経費精算が煩わしいといった不満を持っている」と伝え、「Amadeus cytric Travel & Expense」でこれらの課題を解決できるとの考えを示した。
同サービスでは企業の出張規定の登録、出張の計画、航空券の予約、ホテルや空港への送迎などの予約、支払った経費などの管理と精算、出張後のレポートなどサポートする機能を提供。モバイル端末でも利用可能で、例えば出張中の経費についてはスマートフォンの内蔵カメラで請求書の写真を撮影することで自動的に登録できるという。アマデウスアジアパシフィックコーポレートIT代表のフレデリック・ソニエ氏によれば、同サービスを使用する企業は、出張規定にあった最適な航空券の選択などにより、出張予算を10%以上節約できるという。
そのほかには、同社が提供するモバイル機器のGPS機能などを活用した危機管理ソリューション「Amadeus Mobile Messenger」との連携も可能。ソニエ氏は「Amadeus Mobile Messenger」については、出張者の位置情報を地図上に表示し、GPS機能で現在地を確認でき、緊急の場合は連絡を取り合うことができることなどをアピールした。
同社は日本市場においては、日系グローバル企業を中心に営業を展開する方針で、ソニエ氏は「すでに企業の関心をかなり引きつけている」と語った。一方で「アマデウスは旅行会社ではなく、既存のインハウスの業務を奪うことはしない」とも強調。企業が「Amadeus cytric Travel & Expense」を利用して予約した航空券の発券は、インハウスなどの旅行会社が担うことを改めて説明した。そのほか、将来的には旅行会社経由による「Amadeus cytric Travel & Expense」の販売も検討していることを明らかにした。