JTB、クオニイ買収へ、アジア発欧州旅行需要を獲得

※両社のウェブサイトより転載 ジェイティービー(JTB)は5月30日、クオニイの旅行部門を買収すると発表した。グローバル事業において、アジア発の欧州旅行需要を取り込むことがねらい。また、MICE事業の強化や、日本のFIT向けに欧州発旅行商品の拡充もめざすという。JTBのM&Aとしては過去最大規模になる見込みで、買収額や株式の取得時期などは明らかにしていない。

 クオニイは昨年にスウェーデンの投資会社に買収されており、今年4月にはホテル流通などのFIT手配部門を一部を除いてホテルベッズに売却。さらに同じく4月に、団体手配部門でもアジア、オーストラリア、中東、アフリカ、米大陸の手配機能をトーマス・クック・インディア・グループに譲渡した。

 今回のJTBは、残る欧州方面の手配部門やグローバルMICE部門を担当する米国法人を買収したかたち。クオニイには各国政府向けのビザ発給業務受託事業「VFSグローバル(VFS)」のみが残ることとなる。

 JTBによれば、テロなどの不確定要素はあるものの、2020年には域外から欧州を訪れる観光客の数が2010年比3割増の6.2億人に達するとの予測もあり、中国を含むアジア発の欧州旅行を成長の鍵と捉えているという。

 なお、クオニイはこれまでJTBと競合する旅行会社も顧客としてきているが、JTBは「株式取得後も、中立的なオペレーターの立場を継続する」とコメントしている。


クオニイを巡る動き
・2011年5月

クオニイがトラベルポートからガリバーズ・トラベル・アソシエイツ(現在のGTA)を買収。取得価格は7億2000万米ドル。

・2015年1月
クオニイがBtoC事業からの撤退とBtoB事業への集中を発表。この結果、クオニイはFIT向けのホテル流通とランド手配の「グローバル・トラベル・ディストリビューション(GTD)」部門、グループ旅行向けの手配とDMC事業の「グローバル・トラベル・サービス(GTS)」部門、そして各国政府向けのビザ発給業務受託事業「VFSグローバル(VFS)」部門を経営の3本柱とした。GTAはGTDの中核を担った。

・2016年2月
スウェーデンの投資会社EQTがクオニイの株式公開買い付けを発表。5月に買収完了。

・2017年4月
GTD事業を担っていたGTAのホテル流通部門をホテルベッズに売却することを発表。FIT向けランド手配部門はGTD事業に残る。

・2017年4月
EQTがGTS事業のうち、アジア、オーストラリア、中東、アフリカ、米大陸のランド手配部門をトーマス・クック・インディア・グループに売却することを発表。欧州の手配部門とグローバルMICE部門を担当する米国の法人はGTS事業に残る。

・2017年5月
JTBがVFS以外の事業を買収。