JTB、16年度は減収減益、FIT不調で-17年度はウェブ販売強化
▽17年度は訪日や仕入、事業開発に注力
記者会見では、高橋氏が今年度の重点推進テーマについて、今後の取り組みを説明した。訪日事業については「JAPANiCAN.com」を強化する方針。同氏は「JAPANiCANはホテルや旅館の在庫力が圧倒的に強く、グローバルOTAと十分に戦える」と自信を示した。
今後は他社との協業を視野に、ユーザビリティの向上に取り組むほか、業務提携をしているアソビューの国内体験型商品を販売する予定。このほどグループ会社化したEuropa Mundo Vacaciones(EMV)と連携して周遊型バスツアー「シート・イン・コーチ(SIC)」も販売し、他社との差別化をめざす。
仕入れについては客室や航空座席の買い取りを積極的に実施し、スケールメリットを活かす方針。同氏は「仕入れと造成強化を重点ポイントに、個人事業の強化を進める」考えを語った。海外旅行では、特に取扱規模が大きいハワイで、年間を通じて航空座席を大量に買い取るほか、回復基調にある欧州で、チャーター便を積極的に活用。好調に推移しているオセアニアや東南アジアの仕入れも強化する。
さらに、高橋氏は海外個人旅行については「大きな商品改革を実施している」と説明。「これまでの固定型でプロダクトアウトのパッケージツアーから、お客様のニーズに合わせて対応できる柔軟性を持った『エアホ』へと舵を切った」と話した。エアホは店頭や電話、ウェブサイトで申し込みできるFIT向けのダイナミックパッケージツアーで、高橋氏は「取り扱いは相当伸びている」と話し、今後の成長に期待を示した。
国内旅行は、同社が唯一の「オフィシャルトラベルパートナー」である「レゴランド・ジャパン」への送客を強化する。高橋氏は「18年にレゴランドホテルが開業してからが本番。今は圧倒的な認知度の低さが課題」と語り、来年に向けてプロモーションを強化する考えを話した。このほか、LCCの座席も買い取り、国内外のツアーなどを本格的に展開するという。
高橋氏は17年度の個人旅行の販売方針として「リアルとウェブの配分を今一度見直す」と語った。同氏は、国内旅行の宿泊券の3割以上がウェブサイト経由の予約で、ルックJTBのパッケージツアーもウェブサイト経由が全体の2割を占めるまで成長したことを説明。今後は価格訴求型のツアーや宿泊券などの単品販売、海外の有名な都市に滞在するツアーなどを対象に、「販売チャネルの1つとして、インターネット販売を強化する」方針だ。
店舗での販売については「お客様へのコンサルティングをおこない、高額商品を販売することでウェブと棲み分けていく」と語った。店舗ネットワークについては、事業再編にともない再統合を計画しているが、同氏は「47都道府県の店舗は必ず維持する」と強調した。
このほか、事業開発は他社とのコラボレーションを強化し、ベンチャー企業との提携や協業などで新事業を実施。高橋氏は「(ベンチャー企業の新事業が)世の中の大きなスタンダードになる前に関われるようになりたい」と意欲を示した。