「AXESS教育研究会」発足、産学連携で実践的な教育を
アクセス国際ネットワークはこのほど、「AXESS教育研究会」を設立し、5月24日に発足式を開催した。同研究会は、JALグループ各社と教育機関の産学連携を核に、航空、旅行業界の人材育成をめざすためのもの。同社や日本航空(JL)などJALグループ6社、観光系の専門学校などの教育機関35校、旅行会社5社が参加している。
アクセス国際ネットワークは1980年代から30年以上、専門学校などでAXESSの操作などの授業を実施。開会の挨拶で登壇した代表取締役社長の添川清司氏は、これまでは就職後に即戦力になれるような教育をしてきたが、業界環境の変化や顧客ニーズの多様化などを受け、提案力やコミュニケーション能力など、GDSの操作以外の教育も必要になってきていることを説明。「我々だけでは人材育成の機会の提供は限られてしまう。産学連携で業界の変化に対応できる、次世代の人材育成を検討する場を提供していければ」と意欲を述べた。
同研究会では、帝国データバンクが今年の2月に全国の1万社以上の企業を対象に実施したアンケート調査で、企業が求める人材を問う質問の回答において、「意欲的である」「コミュニケーション能力が高い」を選ぶ企業が多かったことに注目。意欲的でコミュニケーション能力の高い人材を育成するため、AXESSの操作方法に比重を置く授業から、現場での実践的な操作や必要な知識、接客スキルなどを学ぶ授業に変え、総合的な観光人材「オペレーティングスペシャリスト」の育成をめざす方針を示した。
さらに、研究会に参加している旅行会社などに対し、求める人材などについてヒアリングを実施。その結果を元に教育内容を検討し、実際の授業に反映していくという。
今後は10月から国内線を対象に、新しい教育カリキュラムを提供。AXESSを使った仕事の流れを理解するとともに、接客のスキルを学ぶ「オペレーションスキル」プログラムを追加する。同社によれば、JALグループが監修したプログラムで、電話の対応や空港カウンターでの接客スキル、ツアーシステムの操作など実践的なスキルを学ぶことが可能という。なお、国際線については、9月から新しい教育カリキュラムなどの検討を開始する予定だ。
同社は年に3回、AXESSの操作スキルなどを認定する「AXESS実用検定試験」を実施しているが、研究会の取り組みを受け、18年以降、試験の名称を「AXESSオペレーションスペシャリスト検定」に変更。また、国内線を対象にした試験について、新たに音声ヒアリングによる記述・操作演習を追加し、より実践的に内容に変更した。このほか、外国人の受験者が増えたことから、一部の文言にふりがなを付け、オペレーションスキルを科目から除外した「AXESS検定初級」も新たに設定する。