JTB、中国のテレビと訪日アプリ開発、旅行商品の販売も
ジェイティービー(JTB)は4月27日、中国で日本の文化や観光に関する情報を提供しているテレビ番組「東京印象」などと連動した中国人向けの無料アプリとして、5月15日から「最霓虹(BEST NIHON)」を提供すると発表した。番組で紹介した日本各地の観光情報を掲載するほか、アプリ経由でパッケージツアーや航空券、宿泊施設、着地型旅行商品、土産物などを販売し、番組を視聴する訪日意欲の高い中国人の囲い込みをはかる。取扱人数や売上高などの目標は設定していない。
JTBは、上海のテレビ局を運営する上海日欣文化伝媒有限公司(上海ルーセント)などと、2月にアプリの運営を担う上海淘最霓虹网絡科技有限公司(上海ベストニホン)を設立。出資比率は上海ルーセントが65%、JTBが10%、その他が25%で、出資額や資本金は非公表としている。
4月27日に開催した記者会見で、JTB取締役訪日インバウンドビジネス推進部長の坪井泰博氏は、2011年から上海ルーセントと提携し、同社に観光情報などを提供してきたことを説明。今回のアプリについては「中国市場に向けて予約販売などの、より実用的なサービスを提供できるようになった」と喜びを示した。
坪井氏は、外務省が5月8日から中国人のビザ取得用件をさらに緩和することから、訪日中国人旅行者がさらに増加すると考えられることを強調。質の高い旅行商品の提供してリピーター化を促進し、中国人旅行者の地方分散をめざしたい考えを語った。
そのほか、アプリがGPSの位置情報から利用者に近隣の観光地を勧める機能を有することを紹介。各地の土産物店や宿泊施設、飲食施設などからアプリへの広告掲載を募るBtoB事業を実施することも発表した。
上海ベストニホン常務副総経理の立川幹規氏は、これまでに視聴者から、番組で紹介した観光地へのアクセスやツアーの値段などについて多くの質問があったことを説明。「実用性の高い情報を求める、視聴者からの強い要望に応えてアプリを制作した」と話した。
利用者がアプリを利用して商品を購入する場合は会員登録が必要で、立川氏は「17年中に会員数25万人をめざす」と語った。決済にはクレジットカードやAlipayなどのサービスを利用する。
「東京印象」は05年から、姉妹番組の「地方版印象シリーズ」は15年から上海を中心に放送を開始。現在は中国全土で週に1話を放送しており、1話ごとに約100万人が視聴しているという。5月以降は中国人に人気にも高い北海道を取り上げ、その後は中部や中国・四国、沖縄などを取り上げる予定。