JATA、てるみ問題受け勉強会発足、消費者保護強化へ
日本旅行業協会(JATA)は4月6日の定例記者会見で、破産開始決定を受けたてるみくらぶの利用者への返金が極めて少額にとどまる問題を受けて、消費者保護の強化について検討する勉強会を立ち上げると発表した。弁済業務委員会など協会内の3委員会のメンバーで構成するもので、事務局長の越智良典氏は「業界として何ができるのか、信頼確保に向けて検討を進めたい」と述べた。4月中旬に第1回の会合を開催し、観光庁とも連携しながら4月と5月で集中的に検討するという。
てるみくらぶの負債総額は約151億円で、このうち消費者に対する負債は99億円。JATAの弁済保証制度を利用すると弁済限度額は1億2000万円で、弁済率はわずか1.2%となる。越智氏は一方で、2005年からの11年間で同制度を利用して弁済をおこなった53社のうち41社の弁済率が100%で、負債額と弁済限度額に大きな乖離があるケースは少なかったことを説明。その上で「本来はよくできた制度で、根本的に見直すアイデアはすぐには思いつかないが、それでも消費者にとってより役に立つ対策を考える必要がある」と語った。
考えられる論点としては、分担金額の引き上げなど制度自体の見直しと、経営が悪化している会社に対する監視などを例示。ただし金額の引き上げについては「本来は旅行会社の互助のための制度であり、経営を圧迫しては意味がなくなる」、監視については「決算を粉飾されたりすれば実情がわからなくなる」とそれぞれ課題も示し、この日は「いくつか案は用意しているが、まだ言える段階ではない」と述べるにとどめた。
なお、てるみくらぶの破産開始決定が旅行業界全体にもたらした影響については「今のところ、旅行会社を介した旅行が減っているという感覚はないし、会社によっては予約が増えているという話も聞く」とコメント。「今回のてるみくらぶのケースは特殊なのでは」との見方を示した。
なお、JATAによれば6日午前の時点で、弁済保証を希望する登録者の数は約3万件にまで増加。今後は6月中旬頃に認証の申し出に関する書類を発送する予定。手続終了は申し込みから8ヶ月から9ヶ月程度先になるという。