雲仙「ホテル東洋館」の元運営会社が破産、地震が影響

  • 2017年4月3日

 東京商工リサーチによると、長崎県の雲仙温泉で「ホテル東洋館」を運営していた東洋館は3月31日、長崎地方裁判所に破産申請し、同日に破産開始決定を受けた。負債総額は37億円。

 東洋館は1945年11月に観光ホテル「ホテル東洋館」を開業。客室数115室、収容人数約500人、10名以上の収容が可能な宴会場を23室備える、雲仙温泉ではトップクラスの規模を誇る老舗ホテルだった。ピーク時の91年6月期には23億円の売上高を計上した。

 しかしその後は、他の温泉地との競争激化や、個人消費の低迷などから宿泊客は年々減少。設備投資のために多額の借入金も抱えて、資金繰りが逼迫していた。2005年には債権が金融機関から債権回収会社に譲渡され、以降も債権者が数回変わるなど、資金面は常に不安定な状態が続いていたという。

 業績低迷が慢性化するなか、16年4月には熊本地震が発生し、宿泊客が激減。同年6月期には売上高6億円に対して1億1000万円以上の赤字を計上し、その後も業績は回復せず今回の措置となった。なお、ホテルの運営は土地と建物を所有する、同市のFive Innovationが継続している。