週間ランキング、てるみくらぶ後の1週間、業界の自浄能力に期待

[総評] 金曜日は、午前中に1週間のアクセス状況を確認しておおよそのランキングを想定し、当欄の原稿を書き始めるのが日常となっていました。先週もそのはずで、途中までルーティーンのような時間を過ごし、そのまま週末を迎えるはずでした。

 てるみくらぶが3月23日に国際航空運送協会(IATA)のBSP精算に失敗してからの1週間は、少なくともこの10年間では初めての時間の連続となりました。最終的な被害の状況は不明ですが、8万人とも9万人ともいわれる被害者の数は驚くべき規模で、私がトラベルビジョンで働きはじめた2007年以降では最大でしょう。

 また、最初に書いた記事のページビューは25日の段階で約15万回であったところから現在は倍以上に増え、被害者の数の多さを実感させられます。さらに、あいにく出張で応じられませんでしたがテレビからの出演依頼も複数入り、初めてづくしの1週間となりました。

 先週の当欄では、「今の時点では倒産したわけではない」と書きましたが、月曜日には破産手続きの開始決定を受けました。旅行業界誌としては、なんとかなって欲しいという願いを捨てきれなかったものの、残念ながらそれが叶うことはありませんでした。

 とはいえ、一部メディアの先走った報道がダメ押しをした印象は未だぬぐえないものの、粉飾決算の可能性なども伝えられており経営破綻を避けられなかったことは間違いないでしょう。その意味では、なぜもっと早く幕引きをできなかったのか、これで詐欺のつもりはなかったなどとどうして言えるのか、疑問は尽きません。

 今後に目を向けると、まずは事態の沈静化が急務ですが、その後はホテルや地上手配の予約に関する消費者保護のあり方、そして「悪い噂」が聞こえた時の検査といった議論を早急に進めなければなりません。場合によっては旅行会社の経営環境を厳しくする可能性もありますが、やむを得ないでしょう。

 また、すでに中小旅行会社の信用について疑問が呈されており、その面から大きな影響が出る可能性もあります。とはいえ、旅行会社の利益率の低さには旅行会社が多すぎるからという側面もあるはずで、そういった意味では不良企業が減ることは真っ当にビジネスをしている旅行会社からすればプラスの話であり、率先して自浄能力を示していかなければなりません。

 旅行業界を応援する立場としては非常に心苦しい1週間でしたが、個人的な救いとして、今回のトラベルビジョンの記事についてTwitterなどで「餅は餅屋」、「さすが専門誌」といったご評価をいただけたことは手前味噌ながら素直に嬉しく思います。

 ただ、同じように旅行業界だけでなく世間を騒がせたジェットツアーの倒産について、今でもインターネット上で公開されている記事があるのですが(リンク)、これを読むと記者としての気概や経験、知識など自分の至らない部分を痛感させられます。いつか、見ず知らずの後輩にそう思ってもらるように精進を続けたいと思います。

 なお、罪のない従業員や内定を取り消された皆様がこれから残務整理を終えた後、新しい活躍の場をなるべく早く得られるように求人企業やサポートなどの情報を集約したページを開設しました(リンク)。この趣旨にご賛同いただける企業からの情報掲載もお待ちしております。(※掲載希望多数のため募集は取りやめています)(松本)

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2017年03月24日0時~03月31日14時)
第1位
てるみくらぶが破産、負債151億円、8万人超(17/03/28)
てるみくらぶ、BSPの債務不履行か、顧客に混乱広がる(17/03/24)
てるみくらぶの影響大、週末で問題解決の旗振りも不在【予約確認方法まとめ】(17/03/25)
てるみの資産状況が判明、債務超過額が急増-TSR発表(17/03/29)

第2位
キャセイ、新計画で「顧客目線」重視、柔軟に路線展開(17/03/28)

第3位
東京さくらツーリストが破産開始-過去に補助金不正受給(17/03/29)

第4位
JATA、自由自在の弁済保証も案内開始-てるみ関連会社(17/03/28)

第5位
JTB、「スポーツホスピタリティ」に参入、ラグビーW杯機に(17/03/29)

第6位
関空、2月の国際線旅客数は3.8%増、発着回数は1.7%減(17/03/27)

第7位
日本旅行、「戦略国」豪州と共同セミナー、4年で55%増へ(17/03/26)

第8位
DeNAトラベル、アマデウスとグローバル契約、海外展開加速(17/03/27)

第9位
バニラ、関空/奄美線に就航、初便搭乗率は8割(17/03/28)

第10位
エボラブルアジア、東証マザーズから1部に変更、1年で(17/03/26)


※除外した記事(本来は10位以内にランクイン)
 ◆春闘:JTBグループ5社、阪急交通社グループ2社(17/03/29)
 ◆人事、KNT-CTグループ-「情報セキュリティ対策室」新設(17/03/26)
 ◆人事、ANAセールス役員-5月1日付 (17/03/29)