JTB、「スポーツホスピタリティ」に参入、ラグビーW杯機に
ジェイティービー(JTB)はこのほど、英国でスポーツ観光事業を展開するSports Travel & Hospitality Group(STHグループ)と提携し、新たな事業「スポーツホスピタリティ事業」を開始した。2019年のラグビーワールドカップ日本大会を見据えた取り組みで、JTBによれば「スポーツホスピタリティ」とは、スタジアムを訪れる観戦客に、専用の個室などでの飲食、エンターテインメント、ギフトなどを観戦チケットとともに有料で提供するパッケージ商品で、宿泊や移動は含まれない。欧米では一般的な観戦スタイルで、JTBはさらに日本ならではのコンテンツやサービスを加えて提供するという。
JTBは、19年の日本大会についてスポーツホスピタリティの造成・販売権を有するSTHグループが2月1日に設立したSTH JAPANに出資し、49%の株式を取得したところ。JTBとSTHグループは今後、STH JAPANを通じて同大会のスポーツホスピタリティを独占的に企画・販売し、5万人の取り扱いをめざす。44日間にわたり全国各地で48試合を開催する日本大会については、日本人に加えて約45万人の訪日外国人旅行者の観戦が見込まれている。
3月29日に開催した記者会見で登壇したJTB代表取締役社長の高橋広行氏(高ははしご高)は、「輝かしい実績を持つSTHグループをパートナーにできたことは、今後のビジネスを成功させる上で大きな意義がある」と強調。加えて「スポーツホスピタリティは欧米では欠かせない観戦スタイルとして定着しているが、日本やアジアでは馴染みがない」と説明。JTBが培ってきた知見を活用して日本市場にもスポーツホスピタリティを浸透させるとともに、アジア各国でも取り組みを展開する考えを示した。
JTBグループ本社執行役員スポーツビジネス推進室長の青木尚二氏は、19年のラグビーW杯に続き、日本国内では20年に東京オリンピック・パラリンピック大会、21年に中高年向けの国際スポーツ大会「関西ワールドマスターズゲームズ」が開催されることを説明。その上で「スポーツホスピタリティがJTBの事業の柱の1つとして成立するようプロモーションしていきたい」と意欲的に語った。
ラグビーW杯のスポーツホスピタリティについては、地方での試合のスポンサーを務める国内企業や、その他のラグビーへの関心度の高い国内外の企業などを主なターゲットとして設定。試合を開催するスタジアムによっては食事やエンターテイメントを提供できる場所が限られることから、地方自治体や大会の組織委員会と協力し、スタジアム近辺にサービスを提供できる場所があるか探すとともに、ユニークベニューの活用なども検討するという。
▽ラグビーW杯の公式旅行会社に、ホテル手配事業も
なお、STHグループは日本大会の公式旅行会社の指名権も保有しており、JTBはこの日の会見で観戦チケット付きツアーを独占的に企画・販売できる公式旅行会社に指名されたこと、海外の公式旅行会社に対して期間中の宿泊施設を手配する「ホテルバンク事業」を委託されたことも発表した。ツアーは日本人と訪日外国人の両方に販売する予定で、着地型旅行商品の造成も検討しているという。青木氏は日本大会について、すべての事業をあわせて10万人から15万人の取り扱いをめざす考えを示した。
※修正案内(編集部 2017年03月30日10時12分)
・1パラグラフ2文目 「宿泊や移動は含まれない」を追記しました