宿泊権売買のCansell、DPの宿泊部分の取り扱いを開始
宿泊予約の権利を売買できるウェブサイト「Cansell」を運営するベンチャー企業のCansellは3月15日、旅行会社が販売する国内旅行のダイナミックパッケージ(DP)の宿泊部分のみの取り扱いを試験的に開始した。DPの購入者は新幹線や飛行機などの交通だけを利用して宿泊をキャンセルする場合、同社の審査を通過した上でウェブサイトに出品し、希望者との売買が成立すれば旅行費用を節約できることになる。
出品できるのは、チェックインする日まで残り20日以内となった宿泊の権利で、出品者がDPのもとの金額や宿泊権の希望販売価格などを申請した後、Cansellが内容を審査。出品者の希望販売価格が市場価格よりも低いこと、予約者の名義変更の可否などを旅行会社や宿泊施設に確認した上で、審査を通過した場合のみウェブサイトに掲載する。
Cansellの現在の従業員数は5名で、申請内容の審査は2名が担当。同社によれば宿泊施設からはいずれも好意的な反応が得られており、キャンセル料の回収漏れや、間際の空室の叩き売りなどを回避できるメリットが喜ばれているという。一方で、旅行会社については名義変更に関するポリシーが異なるため、現時点では半分程度が不可としているという。
同社は2016年1月に設立。9月にはプレビュー版サイトを公開して、宿泊施設からの直販またはOTAを介して予約した宿泊の「権利」の取り扱いを開始。今年1月には本格的な事業展開に向け、カカクコムなど4社を割当先とする第3者割当増資により4000万円の資金を調達している。
同社によれば、海外では米国のRoomerがすでに同様のサービスを提供しているが、日本ではCansellが初めて。取扱高の目標については現時点では公表しておらず、6月に本格的なサービスの提供を開始する際に明らかにするという。
なお、Canselは3月9日には東京都の旅行業第3種登録を取得。同社によれば、「現在は宿泊の『権利』のみを取り扱っているだけなので、本来なら旅行業登録の取得は必要ないが、今後の事業拡大を見据えて前もって取得した」という。