田川氏、ホテレスショーで講演、訪日客獲得に向け協力要請
日本旅行業協会(JATA)会長でジェイティービー(JTB)代表取締役会長の田川博己氏は2月21日、日本能率協会など5団体が24日まで開催している展示会「国際ホテル・レストラン・ショー」のトレンドセミナーに出席し、旅行業界を代表して講演をおこなった。田川氏は日本と世界の旅行・観光業界の現状や取り組みについて説明した上で、宿泊施設や飲食店などに対しては、訪日旅行の振興に向けた受入環境の整備や、日本版DMOへの協力などを呼びかけた。
この日の田川氏はJTB会長として登壇し「地域特性を活かしたインバウンド戦略」と題した講演を実施。冒頭では、国連世界観光機関(UNWTO)が2030年の国際観光客到着数として、アジアについては5億人を予想していることを説明した上で、「彼らが日本に来ると保証されてる訳ではない。(アジア域内の競争に)勝たねばならない」と意欲を示した。
その上で「日本のポテンシャルを考えれば、30年には1億人くらいが来ても良いのでは」と主張。そのためには受入環境の整備が重要になると強調し、「(東京五輪が開かれる)20年までの期間をどう過ごすかが大きなポイントになる。4年間で(政府目標とする年間4000万人の)残り1600万人を伸ばすのは相当な努力がいる」と述べた。具体的には基本的なインフラ整備に加えて、地域の生活や文化の観光への活用、日本版DMO形成に向けた地域の連携、旅館の「泊食分離」など既成概念に囚われない観光地域づくりなどを呼びかけた。
その後の首都大学東京特任教授の本保芳明氏との対談では、「一過性ではなく恒久性のある取り組みが重要」と説明。日本版DMOの形成や着地型観光の促進などについては「地元の人が主役」と強調した上で、「旅行会社の本来の役割は流通。観光素材の開発など、スターターの役割は担えても、持続させるための取り組みは地域が主体になって取り組まないと上手くいかない」と協力を呼びかけた。
▽越智氏はJATAの取り組みをアピール、EXPOも
この日はJATA理事・事務局長の越智良典氏も「日本の観光ブランド戦略に不可欠な旅行会社のリーダーシップ」と題した講演を実施。日本には歴史や文化や食など、旅行者が観光に求める要素がすでに豊富にあるとの見方を示した上で、参加者には訪日旅行の振興に大事な3本柱として「地方分散」「質の向上」「DMOの自立」を訴えた。
また、JATAの取り組みについてもアピールし、日本観光振興協会(日観振)や日本政府観光局(JNTO)とともに開催している「ツーリズムEXPOジャパン」を紹介。「環境や買物、スポーツなど、あらゆるものをツーリズムに取り込むことで、人とモノの流れができ、最後にはお金にもなる」と述べ、参加を呼びかけた。