JTB、インドネシアの大手旅行会社に出資、「アジアNo.1へ」
ジェイティービー(JTB)は1月31日、インドネシアで海外旅行事業などを展開するPanorama Tours Indonesia(PTI)の株式の40%を取得すると発表した。世界第4位の人口を有し、旅行産業の成長も著しい同国での事業を拡大し、インドネシア発の訪日旅行需要を取り込むことがねらい。3月24日に予定する株式譲受後は、JTBのジャカルタ支店をPTI社と統合し、社名をPanorama JTB Tours Indonesia、ブランド名を「Panorama JTB」に変更し、インドネシア全土にJTBの名を浸透させる。
PTIはインドネシアで幅広く旅行事業を展開するPanoramaグループの中核会社で、設立は1998年。本社はジャカルタにあり、従業員数は約800名を数える。主な事業はインドネシア発の海外旅行および国内旅行の販売で、現在は国内24都市に53店舗を展開。レジャーとビジネスの両分野で販売ネットワークを有し、2015年には売上高約180億円を計上している。なお、JTBによればPTIは同国最大手ではあるものの、インドネシア市場には近年多くの旅行会社が乱立しているため、シェアは約7%にとどまるという。
31日に都内で開催した記者会見で、JTB代表取締役社長の高橋広行氏(※高橋氏の高ははしごだか)は、同社グループが2020年までのビジョンとして「アジア市場における圧倒的No.1の旅行会社」をめざしていることを説明。その上で、出国者数の増加が2桁増を続けるインドネシアにおいて「一気呵成に事業拡大をはかりたい」と語った。また、今回の協働については「インドネシアから日本への送客における『発と受け』を一体化するもの」と述べ、政府が掲げる20年の訪日外国人旅行者数4000万人などの目標達成に意欲を示した。
来日したPanoramaグループCEOのブディ・ティルタウィサータ氏は、JTBとの協働について「グローバルなプラットフォームを活用できるようになることで、シナジーが期待できる。将来の見通しはポジティブであり、長く続く関係にしたい」と語った。なお、PTIの株式の残りの60%については、引き続き同社グループのPannorama Sentrawisataが保有する。高橋氏は株式の取得額については明らかにせず「数十億円」と述べるにとどめた。
「Panorama JTB」は今後、PTIの店舗やウェブサイトなどの販売網を活用してレジャー事業を拡大するほか、インドネシア国内のグローバル企業、ローカル企業、日系企業への営業を強化。インドネシア人の訪日旅行については共同で商品開発などを進め、主要観光地だけでなく全国各地の魅力もアピールする。17年度の売上高の目標は300億円で、今後3年間から4年間で500億円にまで引き上げる考え。なお、日本からインドネシアへの送客における協働については、これから検討するという。