日韓交流1000万人に向け関係者団結-JATA「韓国復活」ファム
(慶州発:行松孝純) 日本旅行業協会(JATA)は12月13日、韓国観光公社(KTO)の協力のもと2泊3日の「韓国復活研修旅行」を開始し、同日夜に慶州市で開催された晩餐会「日韓観光交流の夕べ」で、韓国の業界関係者と年間交流人口1000万人の早期実現をめざすことを確認した。これまでは年間の目標として700万人を掲げてきたが、観光庁と韓国文化体育観光部が今月8日に熊本市で開催した第31回の日韓観光振興協議会で、年間1000万人の目標を打ち出したことを受けて数値を引き上げた。
日韓の交流人口は今年で700万人を突破すると見られており、日本政府観光局(JNTO)によれば訪日韓国人旅行者数の10月までの累計は29.2%増の416万9000人と、通年で500万人を超える見通し。訪韓日本人旅行者数も昨年の中東呼吸器症候群(MERS)の影響から回復しており、韓国観光公社(KTO)によると10月までの累計は24.7%増の188万7473人。通年では14年の228万434人を超えると予想されている。
14年にも1000名規模のファムツアーを実施し、16年については「海外旅行復活の年」の試金石として訪韓日本人旅行者数の回復に努めてきたJATAは、今回のファムツアーで古都として知られる慶州など地方を訪れる旅行商品の造成を促し、17年以降に向けてはずみをつけたい考え。晩餐会前に記者団の取材に応えたJATA会長の田川博己氏は「今回の研修旅行では地方の観光地の深掘りをしたい。来年は韓国全土を売るスタートの年とし、年間1000万人を超える大きな流れを作りたい」と意欲を示した。
本誌の取材に応えた田川氏は、1000万人達成の時期については「17年が起爆剤になれば、平昌冬季五輪が開催される18年にも実現する可能性がある」と期待を示した。日本人と韓国人の比率については「韓国人旅行者数は年間500万人規模にまで増加したが、そろそろ限界ではないか」と語り、地方への送客の強化などにより日本人旅行者数を回復させることが、今後のカギになるとの見方を示した。
晩餐会には、日韓から旅行業界の要人など各100名が出席した。日本側は田川氏に加えてJATA副会長の菊間潤吾氏が、韓国側からは文化体育観光部長官の趙允旋(チョ・ユンソン)氏、KTO社長の鄭昌洙(チョン・チャンス)氏、韓国旅行業協会(KATA)会長の梁武承(ヤン・ムスン)氏、セヌリ党所属の国会議員で元在大阪韓国総領事の金碩基(キム・ソッキ)氏、慶州市長の崔良植(チェ・ヤンシク)氏が挨拶。それぞれ関係者に謝意を示すとともに、今後の交流拡大を祈念した。
このうち菊間氏は「韓国の年間出国者数は2200万人を超えたと聞き、ジェラシーを感じる」と述べた上で、「日本も年間2000万人を達成するには、訪韓旅行者数を230万人から300万人、400万人にしなくてはいけない。来年は『韓国旅行復活の年』にしたい」と宣言。具体的な方策については「KATA会長の梁氏に秘訣を聞いて、日本も発展していきたい」と語り、意見交換を深める考えを示した。
14日から本格的に開始する研修旅行のコースは「釜山、蔚山、慶州コース」「平昌冬季オリンピックコース」「百済歴史コース」の3つで、各コースに約50名が参加。JATAからは田川氏や菊間氏に加えて、理事長の志村格氏、事務局の越智良典氏、ジャルパック代表取締役社長でJATA海外旅行推進委員会副委員長の藤田克己氏なども参加する。なお、「平昌冬季オリンピックコース」以外の2コースは視察先に慶州を組み込んでおり、JATAによれば9月の地震で風評被害を受けている同地方への支援の意味を込めたという。