農協観光に下請法違反で勧告-OTOA、「相談する勇気を」
▽公取委、「下請への不利益重大」-運用基準改正も
公取委によると、旅行業に限らず事業者への指導などは日常的に実施しているが、勧告は下請事業者に与える不利益が重大な場合に実施するといい、その際には下請事業者の会社数や金額など様々な要素を勘案するという。
違反の把握は、書面での調査を実施しているほか「下請かけこみ寺」などで相談を受け付け。書面調査では正直な回答を躊躇する下請事業者もいると考えられるところで、公取委ではツアーオペレーターに対して、「情報源が発覚することのないように調査するので、幅広く情報をお寄せいただきたい」と要望している。
また、公取委では10月26日から11月24日まで、「下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準」の改正案についてパブリックコメントを実施。この運用基準は、親事業者による違反の防止や情報提供の増加を目的としたもので、対象となる取引の定義や違反行為の事例などを提示するもの。
今回の改正における変更点の中では、対象となる取引の例に「旅行業者が、旅行者から請け負う宿泊施設、交通機関等の手配を他の事業者に委託すること」を加えているほか、違反の事例に「親事業者は、旅行者等に提供する海外における現地手配業務を委託している下請事業者に対し、『販売促進費』として下請代金の額に一定率を乗じて得た額を下請代金から差し引いた」を追加している。
なお、旅行業の取引が下請法の対象となったのは2004年から。これまでもツアーオペレーターに「協定料」や「会費」などの名目で金銭提供を要請または代金の減額をする、支払いが遅延する、買いたたきをするといった違反行為でも指導がなされていることが公表されている。日本海外ツアーオペレーター協会(OTOA)専務理事の速水邦勝氏は、本誌取材に対して「双方納得ということはあり得ず、多くの会員が理不尽だと思っている。勇気を持って相談してほしい」と語った。