インタビュー:日本旅行代表取締役社長の堀坂明弘氏
中核分野で「オンリーワン」へ
「リアルエージェント」として店舗も重視
-次期中計について、お考えをお聞かせください
堀坂 現在の計画と同様に4ヶ年計画になるだろう。今後は引き続きさまざまな領域での強みを伸ばすことで、トータルでの1位ではなく「オンリーワン」としての地位を確立していきたい。
BTMやMICEなどの手数料だけに頼らない収益基盤については、引き続き注力する。宿泊施設や交通機関などを仕入れて商品化し売るという「手数料商売」だけでは駄目だと思う。例えばBTMでは、企業などの出張に関するすべてを担当し、出張の効率化など企業にとってプラスとなる提案をすることで次の需要を獲得することが必要。コンサルティングのようなサービスで収益を得ていく。
中核分野の1つである訪日旅行については、先程述べた通り、FITの増加により旅行会社を利用する訪日旅行者が減っている。彼らに旅行会社を利用してもらうための方策を考えなければならない。その一環として、来年3月にJR西日本と協力し、関西空港駅の「みどりの窓口」を拡張し、訪日旅行者向けの案内などのサービスを提供できるツアーデスクを設置する。
-海外旅行や国内旅行について、今後の方針をお聞かせください
堀坂 海外旅行は、我々の「強み」とする欧州については引き続き強くありたい。しかし、今まで通りすべてのデスティネーションに労力を費やすのではなく、欧州内でいくつか「強いデスティネーション」を選定し、経営資源を集中させることでメリハリをつける。
具体的なデスティネーションについては次期中計で発表するが、お客様の動向を踏まえ、テロが発生したフランスやベルギー以外で、新規路線が就航した国などを要素の1つとして検討する。なお、下期商品のように、需要が減少したフランスの商品数を少し減らし、オセアニアやアジアなどを強化する動きは今後も継続する。
国内旅行についてはJR利用商品を強みとしつつ、航空利用商品についても展開する。今年は北海道新幹線と航空機を片道ずつ利用する商品などを販売しており、取り組みを継続したい。また、来年は春に「トワイライトエクスプレス瑞風」の運行がはじまり、四国や山口でデスティネーションキャンペーン(DC)が実施される。こうしたフォローの風があるので、工夫をすればまだまだ伸びる余地があるだろう。