ILTM、訪日富裕層の地方誘致強化へ、自治体と協力

(左から)ギルモア氏、ボーグリー氏  ラグジュアリー・トラベル専門の商談会「ILTM(International Luxury Travel Market)」を主催するリードトラベルエキシビジョンズは、訪日富裕層の地方誘客に向け、自治体などへのサポートを強化する。旅行会社向けセミナーの初開催に合わせて来日したILTMポートフォリオディレクターのアリソン・ギルモア氏は、11月16日に本誌のインタビューに応え、日本で実施しているアウトバウンド・インバウンド商談会「ILTM JAPAN」において、「地方自治体と提携し、海外の富裕層にあまり知られていない地域への誘客に取り組みたい」との考えを示した。

 同氏は海外の富裕層の旅行者の傾向として、地域特有の文化や体験への興味が高く、「質の高いプロダクトや体験を求めて、新しい訪問先を探している」と説明。ILTMを通し、地方自治体などが新しい訪問先として日本各地をアピールする機会を提供する考えを述べた。

 2013年から毎年、2月か3月にILTM JAPANを開催している同社は、これまでにも京都市や北海道、奈良県、静岡県などと提携して、ILTMに参加した海外のバイヤーやメディア向けのファムツアーを実施するなど、訪日客の地方誘致に取り組んできた。今年は新たに三重県との取り組みを開始。11月14日には志摩市で、同県および日本政府観光局(JNTO)と海外の富裕層旅行者の誘致をテーマにセミナーを共同開催した。JNTOや自治体とセミナーを開催するのは今回が初めて。地元の宿泊施設や観光関連業者など約100名が参加した。

旅行会社向けセミナーの様子。バイヤーの取込強化のため、日本で初めて開催した  さらに、ギルモア氏はバイヤーの多様化にも取り組む考えを示し、大手旅行会社や小規模な富裕層専門の旅行会社、ツアーオペレーターなどにILTMを訴求したい旨を語った。ILTM JAPANに加え、毎年12月にカンヌで開催する「ILTM CANNES」、6月に上海で開催する「ILTM ASIA」についても、日本からの参加者の増加をめざす考え。

 16年2月から3月にかけて開催したILTM JAPANには82社のセラーが出展し、総勢225名が参加。インタビューに同席したILTMエキシビションマネージャーのギャレス・ボーグリー氏は「毎年参加者と出展者が増加しており、16年は約4000件の商談が実施され、460万米ドル規模のビジネスが成立した。日本の富裕層市場の拡大に寄与できたのでは」と語った。5回目となる来年のILTM JAPANは2月27日から3月1日まで東京で開催。セラー90社、バイヤー90社の参加をめざす。

 このほか、ボーグリー氏は日本の富裕層について言及。「日本人は快適さや安全性を重視している」と語り、現在はタイやスペイン、南米などに注目が集まっていると伝えた。