中部、複合商業施設の概要を発表、B787を丸ごと展示-18年夏開業
中部国際空港は11月9日、今年の3月に構想を発表していた、2018年夏に開業予定の複合商業施設「FLIGHT OF DREAMS」の概要を発表した。空港島南側の立体駐車場付近に新たに建築する地上3階建ての鉄骨造の施設で、飲食店や物販店が入居するほか、目玉としてボーイングB787型機の初号機「ZA001号機」を丸ごと展示する。来年4月に着工する予定で、建設事業者や運営会社などは未定。
施設の延床面積は約1万平方メートル、高さは約24メートル。1階は展示スペースで、吹き抜け部分にZA001号機を展示。2階と3階にはボーイング社の工場があるシアトルにちなんだ飲食店や物販店が入居する。展示エリアはミラノ万博の日本館などを手掛けたチームラボが監修。ZA001号機の周辺には、B787型機の部品や組立方法、飛行のメカニズムなどに関する展示物や、フライトシュミレーターなどを設置。航空業界におけるさまざまな業務も紹介する。
そのほか、ボーイング社の最終組立工場の様子をVR機器で紹介する「バーチャルツアー」や、書いた絵をスキャナで取り込み、スクリーン上で飛ばす「お絵かき飛行機」などのアトラクションも提供する考え。B787型機内の見学については検討中としている。なお、展示スペースについては入場料を徴収するが、飲食・物販エリアについては入場無料とする。既存のターミナルや19年度上期に開業予定のLCCターミナル、愛知県が19年秋に供用を開始する大規模展示場とは通路で接続する。
同日に都内で開催した記者会見で、中部国際空港代表取締役社長の友添雅直氏は「これからの時代は、来て楽しめる空港にすることが重要」と強調。新施設の目標来場者数については未定としたものの、国内外からの乗客に加えて、地域住民などの集客も強化し「経営を安定的に伸ばしたい」と語り、MICE用のユニークベニューとしての利用も検討する考えを示した。同氏によると、15年度は約1600万人が空港を利用し、このうち600万人が乗客以外の地域住民や観光客だった。
同氏は新施設の教育効果についても強調。「子どもから大人までが航空業界やB787型機を学ぶ最良の施設」と語り、人材育成にもつながるとの考えを示した。地域の航空産業と協力してコンテンツを提供することで、地域社会への貢献もはかるという。
このほか、会見ではボーイング・ジャパン社長兼ボーイング・インターナショナルバイス・プレジデントのブレット・ゲリー氏が登壇。B787型機の機体の35%が中部地方で製造されていることを説明するとともに、「全日空と日本航空の2社はB787型機の最初のお客様であり、日本では世界のどの国よりも多くB787が運航している」と述べた。そのほか、ボーイング社が新施設のアトラクションなどに積極的に関わる考えがあること、日本初のボーイング社グッズ販売店「ボーイング・ストア」を出店することも発表した。