HIS、新体制で海外展開とオンライン強化-「旅行以外」も
エイチ・アイ・エス(HIS)は10月28日、11月1日から経営執行体制を再編すると発表した(※関連記事)。28日に開催した記者会見で同社代表取締役会長の澤田秀雄氏は、HISグループがこれまでにテーマパークやホテル、ロボット、電力、航空、損害保険など旅行業以外の多様な分野に事業を拡大したことについて述べた上で、今後は「各事業領域を『社内カンパニー制』でしっかり分け、責任と権限を明確化し、スピーディーに事業を展開していく」と説明した。現行の事業持株会社の枠組みは維持しつつ、「仮想的な純粋持株会社制度」を導入するという。
こうした取り組みを通し、旅行分野で海外展開とオンライン事業を強化するとともに、旅行以外の分野を「将来の収益源」と位置づけ注力する。今後は3年後から5年後を目処に、各事業の子会社化などを通して「ホールディングカンパニー制」へ移行したい考えだ。
新体制では、澤田氏は「代表取締役会長兼社長・最高経営責任者(CEO)」に就任し、12年ぶりに社長に復帰。経営戦略の策定・展開を主導し、各カンパニーの意思決定・執行を監督するほか、ハウステンボス(HTB)の代表取締役社長も継続する。現HIS代表取締役社長の平林朗氏は「取締役副会長兼M&A本部長・グローバルオンライン事業担当」に就任し、あわせて11月に設立するHISホテルホールディングスの代表取締役社長と最高情報責任者(CIO)も務める。
新体制後の各事業分野について説明した澤田氏は、旅行事業については、世界展開を強化するとともに「アジアでナンバーワンの旅行会社」をめざすと宣言。「総合旅行会社というビジネスモデルはもう古い。OTAを視野に入れた新しいビジネスモデルを構築し、世界で戦えるようなHISにしていく」と意欲を語った。
新体制では、全世界的なオンライン事業の構築と運営を担当する「グローバルオンライン事業」を新しい事業領域として設定。同事業を担当する平林氏は「旅行会社のオンライン事業は、異業種の参入などで大きくやり方が変わってきた」と語り、「今までの成功体験をゼロから見直し、全く新しい形を創っていく」と意気込みを示した。
同氏は競合と捉える会社について、グローバルに展開するOTAを挙げるとともに「オンライン系のプラットフォームでビジネスを展開する、旅行会社以外の異業種も」と述べた。日本を含む各国でのインバウンド事業においては、地域密着型の旅行会社を競合相手として挙げた。
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