JTB、日通や三越伊勢丹と訪日で合弁会社、JLと提携

(左から)JL執行役員の加藤淳氏、日通代表取締役社長の渡邉健二氏、藤井氏、高橋氏、三越伊勢丹HDS代表取締役社長執行役員の大西洋氏  ジェイティービー(JTB)、日本通運、三越伊勢丹ホールディングス(三越伊勢丹HDS)は10月17日、アジアを対象にしたデジタルマーケティング事業を展開する合弁会社として、このほど「Fun Japan Communications」を設立したことを発表した。合弁会社は、日本を紹介するウェブサイト「Fun! Japan」を中心に、3社のリソースを活用して企業や自治体のサービスや商品、観光コンテンツなどを海外の消費者に提供する。日本航空(JL)との業務提携も実施し、JLは機内での情報発信やマイレージサービスなどで協力する。

 会社の設立日は8月31日で、10月18日から営業を開始。払込資本金は10億円で、持株比率はJTBが50%、日本通運が40%、三越伊勢丹HDSが10%。代表取締役社長兼CEOには、JTBグループ本社で訪日インバウンドビジネス推進部マネージャーを務めた藤井大輔氏が就任した。

JTBの高橋氏  17日に開催した記者会見で、JTB代表取締役社長の高橋広行氏(※高ははしご高)は「インバウンド市場が拡大し、日本企業や自治体が海外で展開するなか、成功のポイントはアジア新興国の消費者を取り込むこと」と説明。日本の企業や自治体の課題として、現地の消費者との接点やコミュニケーションの不足を挙げ、新会社で「人流、物流、商流といった各社の得意分野を活かしながら、企業や自治体のお役に立てるデジタルコンテンツサービスを提供していきたい」と意欲を示した。

 基軸となる「Fun! Japan」はこれまで日本通運が運営していたインドネシア、タイ、マレーシア、台湾で展開するウェブサイトで、このほど運営主体を新会社に移管した。ウェブサイトの1日のユニークユーザー数は130万人超で、日本を紹介する記事を1日3本配信するほか、ソーシャルメディア経由でユーザーの質問に答えるなど、積極的な交流をはかるという。

 ユーザー数はソーシャルメディアのファン数が333万人、ウェブサイトの会員数が33万人。会員の訪日旅行の経験や意向、食の好みなどのデータを細かく収集しており、詳細なマーケティングが可能という。藤井氏は「まずはファン数の拡大に注力し、2020年には1000万人に増やしたい」と目標を述べた。なお、今後はフィリピンやベトナムなどにもサービスを拡大する計画だ。

合弁会社の社長に就任した藤井氏  合弁会社では、海外に進出したい企業や訪日外国人を誘致したい自治体などをターゲットに、Fun! Japanへの広告出稿や市場調査などのサービスを提供。他社のウェブサイトの運営なども担当する。藤井氏は具体的な売上目標については明かさなかったが、「19年度中の黒字化をめざす」考えを述べた。まずは化粧品や自動車メーカー、地方自治体など30社・団体に対して営業をおこなうという。

 さらに、出資3社やJLのサービスとの連携もはかる。藤井氏は「JTBとJLで人流を創造し、三越伊勢丹と連携して商流を、日通と連携して物流をカバーする一気通貫のトータルサービスモデルを構築する」と説明。例えば、訪日客を誘致したい自治体については、Fun! JapanやJTBパブリッシング「るるぶ」の観光コンテンツによる情報発信を実施するとともに、現地で物産展などのイベントを開催。JTBがツアーを造成して誘客をはかり、日本通運が国内の空港/ホテル間の手荷物配送をおこなう。