ペルー、「マチュピチュ以外」をアピール、若年FITの開拓めざす

  • 2016年10月5日

ドイグ氏  ペルー政府観光庁はさきごろ、旅行会社向けのセミナーと商談会を開催した。来日した同庁副長官のサンドラ・ドイグ・アルベルディ氏は業界誌などのインタビューに応え、日本市場の拡大に向けて「マチュピチュ以外の地域を訴求することが鍵になる」と語った。ターゲットとしては近年増加傾向にある若年層のFITに着目し、アマゾン川での冒険ツアーなど新たな観光素材を積極的にアピールする考え。以前からのメインターゲットであるパッケージ旅行のシニア層に加えて、新たな層を開拓したい考えだ。

 同庁によると、ペルーへの日本人訪問者数は13年にピークとなる19.7%増の6万7639人を記録して以降、14年は11.5%減の5万9853人、15年は7.6%減の5万5311人と減少が続いている。ドイグ氏は日本人訪問者の近年の傾向として「13年の(マチュピチュ発見100周年の)ブーム以降、円安など経済的な問題などで減少が続いた」と説明。その上で、16年に入ってからは「円高で日本人訪問者数が伸びてきている手応えがある。通年では前年比2%増になるのでは」との見方を示した。

 同庁は今後、日本市場でのプロモーションとして、広告やソーシャルメディアによる情報発信を強化していく考え。ドイグ氏は「現在、南米ではジカ熱などの問題もあるが、マチュピチュは高地にあるので蚊は生息していない」と強調し、「安全性についてもアピールできる」と意欲を示した。

 あわせて、ドイグ氏はペルーが現在、国を挙げて観光の強化に注力しており、今後の5年間で全世界からの訪問者数を7%増の700万人に引き上げる目標を掲げていることを説明。特にインフラ整備に注力しており、マチュピチュでは利便性向上のために、クスコ県のチンチェーロに新しい国際空港を建設していることを伝えた。完成目標は19年頃。また、リマ国際空港の滑走路を増やす計画も進めているという。そのほか、ホテルの客室数も拡充しており、15年にはリマの客室数は14年比11%増の1万251部屋、クスコは3%増の4286部屋と、受入環境の整備も進んでいることを示した。

 ドイグ氏はそのほか、プレゼンテーションで首都のリマや、地上絵で有名なナスカ、チチカカ湖のあるプーノなど各地域を紹介。インカ帝国時代からスペイン統治時代まで、さまざまな歴史が融合した多様な文化や食をアピールした。商談会には、現地から来日した旅行会社やホテルなど11社に加えて、アメリカン航空(AA)など航空会社5社の日本営業担当者が参加した。