エジプト、治安対策強化で復活へ-チャーター活用で復便も

  • 2016年9月27日

スフィンクスの前には多くの観光客の姿が(9月19日撮影、写真提供:SKY BIRD TOURS)  エジプト政府観光局は9月27日、都内で旅行会社向けのセミナーを開催し、同観光局とツアーオペレーター5社が現地の最新情報を提供した。エジプトへの日本人訪問者数は2011年のアラブの春以降激減したが、来日した同局参事官地域ディレクターのイスマイル・アブドルハミド・アメール氏は「現在の政治状況は安定しており、セキュリティのレベルも非常に高い」とアピール。今秋にはエジプト航空(MS)を利用する定期チャーター便が就航することなどについても説明した上で、「エジプト観光を今一度盛り返したい」と訴えた。

 セミナーでは、日本/エジプト間の定期チャーター便を計画する現地ツアーオペレーターのSPTツアーズ社から、代表取締役のヤーセル・ムスタファ氏が登壇。「日本人はエジプトの治安について懸念しているが、セキュリティ対策はしっかりしている」と述べ、特殊部隊や制服警官、観光警察が安全対策を強化していることを説明した。空港では搭乗者以外の立ち入りが制限されているほか、観光地やホテルなどでは防犯カメラによる監視が徹底され、荷物検査やIDのチェックなども入念に実施されているという。

ギザのピラミッド地区の入口。金属探知機による検査を受けた後、係員が荷物検査を実施する(写真提供:SKY BIRD TRAVEL)  また、旅行会社が外国人観光客を受け入れる際には、ツアーの旅程や宿泊先などを事前に警察に届け出て、手配許可を得ることが義務化されていることを説明。日本からのパッケージツアーには観光警察が同行していることなども明らかにした。

 エジプト観光局によれば、日本人訪問者数のピークは10年の12万6000人。11年は徐々に減少し、14年には10分の1の1万2000人まで落ち込んだが、15年は前年比33.3%増の1万6000人に回復したという。16年1月から7月までの累計は前年に比べて微減しているが、7月単月では15%増を記録。また、7月までの累計宿泊数は47%増で、アメール氏によれば「今までは周辺国と組み合わせたツアーが多かったが、最近はモノツアーが増えてきた」という。

 同氏はそのほか「エジプトはルクソール、カイロ、アスワン、アレクサンドリアなどの伝統的な観光地だけではない」と強調。今後は歴史や文化に加えて、ビーチでの滞在やダイビングなどもアピールし、リピーター化をはかる考えを述べた。ビーチリゾートのシャルム・エル・シェイクなど、外務省の危険情報がレベル1の注意喚起にとどまっている地域を訴求する。

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