フランス、5年ぶりにEXPO出展、回復に向け業界と関係強化
フランス観光開発機構は「ツーリズムEXPOジャパン2016」が開幕した9月22日、都内で記者会見を開催した。同機構がブースを出展するのは2011年以来5年ぶりで、今年は3つの地方観光局を含む8社・団体が来日。同機構総裁のクリスチャン・マンテイ氏は「この大きなイベントに参加することで我々のプレゼンスを強化したい。日本の旅行業界の皆様にフランスの現状を伝え、しっかり関係を築いていきたい」と述べた。
同氏は昨年11月のパリ同時多発テロ事件以降、訪仏日本人旅行者が減少していることについて「辛く、あってはならないこと」と述べ、危機感を表明。「日本人旅行者数が3割から4割減少しているという声もある。この状況を続けてはならない」と語り、重要市場と位置づける日本の回復に注力する姿勢を示した。
その上で、日本旅行業協会(JATA)のTeam EUROPE観光促進協議会が「美しい村30選」の1つに選んだサン・シル・ラポピー村を訪れた際に、日本人を多く見かけたことを伝え、「日本人が減少していない地方もある」と強調。同日に開催された「グローバル観光フォーラム」でも、「日本人はパリでは減っているが、南部や東部などでは増えてきている」と語った。日本人が懸念する治安については、警察がテロ対策を強化し、監視カメラのシステムを改善するなど、治安維持に注力している旨をアピールした。
同機構在日代表のフレデリック・マゼンク氏によれば、昨年のパリ同時多発テロ事件や、今年3月のブリュッセルでのテロ事件などにより、16年の日本人旅行者数は前年比3割減に落ち込む見通し。一時的に需要回復の兆しはあったが、7月中旬のニースでの新たなテロ事件により再び落ち込んだという。しかし旅行会社からのヒアリングによれば、10月以降は需要が回復に向かう見込みで、同氏は「復活の波が来るのでは」と期待を示した。
このほか、マゼンク氏は日本人のビジネス需要は「完全に復活した」ものの、レジャー需要は回復が遅いことを説明。レジャー需要についてはFITは徐々に戻りつつある一方で、パッケージツアーはシニア層の減少などにより、中間価格帯を中心に回復が遅れているという。
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