祝!国立西洋美術館など世界文化遺産登録(1)

 ユネスコ(国連教育科学文化機関)は7月17日、トルコのイスタンブールで開いていた世界遺産委員会で、東京・上野公園にある国立西洋美術館など「ル・コルビュジエの建築作品」を世界文化遺産に登録することを決めた。登録施設はフランス、スイス、アルゼンチンなど日本を含む7カ国にある17の建築物。作品とともに、フランス人建築家、ル・コルビュジエの近代建築運動への顕著な貢献が評価された。

ル・コルビュジエの建築作品

 世界遺産は国内20件目(文化遺産16、自然遺産4)で、複数の国にまたがるのは初めて。東京では世界自然遺産の小笠原諸島に次いで2つ目の登録となる。一方で、登録が確実視されていた、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣(さんけい)道」(熊野古道、和歌山、三重、奈良)の追加カ所の審議は、クーデター未遂事件で、審議そのものが延期され、今回の登録はならなかった。

 国立西洋美術館本館は日本に所在する唯一のル・コルビュジエ設計で1959年の建築。1階を柱のみとするピロティや、らせん状の回廊、展示品の増加に伴い増床できる「無限発展美術館」構想を実現した建築作品として評価されている。2007年に国指定重要文化財に登録され、その後、台東区など地元を中心に世界遺産登録を目指した運動が続けられてきた。

 今回、世界遺産に登録された建築作品はフランス10、スイス2、日本、ドイツ、ベルギー、アルゼンチン、インドの各1施設の17作品。

 ユネスコの諮問機関イコモスは5月に「7カ国・3つの大陸に所在する資産は、建築の歴史において初めての地球規模での国際的な取組みを示すものである。全ての構成資産が新たなコンセプトを革新的な形で示し、地域を超えて世界中に近代建築運動を広めた」と評価し、ユネスコに対し世界遺産登録を勧告していた。

 (16/08/17)


情報提供:トラベルニュース社