日本旅行、欧州強化を継続、添乗員活用し「安心」アピール
日本旅行は2016年度下期の海外旅行商品で、頻発するテロ事件などにより需要が低迷している欧州方面を、引き続き重点市場と位置づけた。同社営業企画本部海外旅行事業部チーフマネージャーの迫謙一氏はこのほど、本誌の取材に応えて今後の欧州旅行商品の販売に関する方針を語り、「添乗員付きツアーが命。お客様に対し『安心・安全』をしっかりとアピールしていきたい」と意欲を示した。
迫氏は、同社の総取扱人数における欧州方面のシェアが引き続き大きいことを説明した上で、「欧州のツアーをしっかりと造成しなければ、目標人数は達成できない」と強調。下期は全方面で前年比20%増の10万8500人をめざすうち、欧州については36%増の3万200人をめざす考えを示した。欧州方面の予約は、上期は3割から4割程度減少する見込みだが、夏以降は回復の兆しがあるという。
日本旅行では16年上期から、欧州方面の周遊型ツアーなどを対象に、海外旅行保険の無料提供や24時間体制の日本語救急サービスなどを「安心サービス」として提供。添乗員同行ツアーについては、添乗員がWiFiルーターを持参し、旅行者がいつでも自宅に連絡できるようにしている。ちなみに下期は、同サービスの対象を全方面の期首商品に拡大した。
下期の「遙かなるヨーロッパ」「大好きヨーロッパ」「大好きイタリア・スペイン・ポルトガル」では、ツアーを担当する添乗員が出発前に参加者に2回電話をかけ、旅行に関する質問などに応えるサービスもおこなう。迫氏によれば、旅行者からの反応は「まずまずの状況」で、世界各地でテロ事件などが起こるなか「こうしたサービスは今後、ますます生きてくる」という。
「大好きヨーロッパ」については、音楽や芸術をテーマにツアーを2コース増やした。迫氏は、コンサートを組み込んだツアーはチケットの事前買い取りのリスクがあるため「ホールセラーでは設定が難しい」と説明しながらも、今後は「リスクを取りながらツアーを強化したい」との考えを示した。
方面別では、10月からイベリア航空(IB)が成田/マドリッド線の運航を開始するスペインに注力するほか、上期が堅調だった北欧商品や、乗継便を利用した中欧商品の販売を強化。パリやニースでテロ事件が起きたフランスは上期並み、ドイツは通年並みの数のツアーを設定する。ベルギーは下期が閑散期となるため、従来通りほとんどツアーを設定しない。迫氏は「ツアーのバラエティは担保しながら、設定日を少なくして催行率を高めていく」と方針を説明した。
欧州以外の方面については、上期に続きアジアやアメリカ方面を強化するとともに、新たにオセアニア方面にも注力して「欧州に一極集中するリスクを分散させる」考え。オセアニア方面については、90日前の予約でウルル(エアーズロック)のヘリコプター遊覧飛行を無料で提供。宿泊施設の仕入れに強みを持つ、グレートバリアリーフに浮かぶグリーン島に宿泊するツアーも用意した。