ANAHD、1Qは減収減益-九州地震が国内線に影響
ANAホールディングス(ANAHD)の2017年3月期第1四半期(16年4月1日~6月30日)の連結業績で、売上高は前年比2.3%減の4044億2500万円だった。営業利益は15.6%減の141億3200万円、経常利益は33.2%減の106億5600万円、当期純利益は20.7%減の66億4600万円。営業費用は事業拡大によりコストが増加した一方、燃油費が130億円減少したことなどにより1.7%減の3971億円となった。
ANAHD取締役執行役員の平子裕志氏は8月3日の決算発表会見で、国際線旅客事業は増加が続く訪日需要などにより好調だったが、国内線旅客事業や貨物事業、旅行事業、商社事業が減収となった旨を説明。特に国内線旅客事業は、九州地震の影響により営業利益が20億円減少したという。
航空事業は売上高が1.8%減の3508億円、営業利益が17.3%減の126億円となり、このうち国際線は旅客収入が3.3%増の1233億円、旅客数が11.6%増の213万1845人となった。欧州でのテロ事件の影響で欧州行きのレジャー需要は減少した一方、欧米やアジアへのビジネス需要は増加。アジア路線を中心とした訪日需要も9%増と堅調に推移した。
有効座席キロ(ASK)は16.0%増、有償旅客キロ(RPK)も16.0%増で、利用率は前年並みの73.0%。客単価は燃油サーチャージの減少などで7.4%減、イールドは10.9%減の11.6円となった。平子氏はイールド減の一因として、15年冬ダイヤから各社の増便が続いた中国線で、需給バランスが崩れたことを挙げた。なお、第2四半期以降は需給バランスが改善する見通しで、イールドマネージメントをさらに強化していくという。
国内線は旅客収入が1.2%減の1505億円、旅客数が1.2%減の978万9355人、ASKは0.5%減、RPKは0.7%減、利用率は0.1ポイント減の61.1%。客単価は前年並みで、イールドは0.5%減の17.1円だった。旅客収入については九州地震による九州発着路線の需要減で10億円、大韓航空機の火災による羽田空港の滑走路の運用停止で5億円減少したという。
マイレージや整備受託収入、バニラエア(JW)からの収入などで構成する、航空事業における「その他の収入」は1.0%増の467億円。JWの旅客数は13.7%増の44万6000人、ASKは14.4%増、RPKは13.4%増で、利用率は0.7ポイント減の83.1%だった。平子氏によれば、JWの第1四半期の営業損益は4億円の赤字。ただし第2四半期の予約状況ではロードファクターが9割を超えていることから、通期の営業利益については40億円の予想を据え置くとした。
旅行事業の売上高は6.0%減の341億円となったが、販売費用の抑制に注力したことなどで営業利益は11.4%増の6億円となり、減収増益となった。海外旅行は欧州でのテロ事件、国内旅行は九州地震の影響で売上高が減少。訪日旅行も中国人の取扱減などで前年を下回った。このほか、航空関連事業は羽田や関空、中部での空港地上支援業務の受託増などにより売上高は6.1%増の613億円、営業利益は28.5%増の24億円に。商社事業の売上高は2.2%減の344億円、営業利益は24.3%減の10億円だった。
なお、通期の業績については当初の予想を据え置く。平子氏は「航空事業の営業収入は当初目標を達成しており、この状況であれば年間目標を十分達成する」との考えを示した。