バイエルンの事件で外務省が注意喚起-旅行会社は「安心」確保へ

  • 2016年7月27日

 外務省は7月26日、ドイツ南部バイエルン州のアンスバッハで現地時間の24日22時頃に発生した爆発事件について、「海外安全ホームページ」にスポット情報を発出した。アンスバッハはニュルンベルクから西に約40キロメートルの位置にある町で、事件は野外音楽フェスティバル会場付近で発生。犯人は死亡し、少なくとも15名の負傷者が出ている。

 現地では、犯人がISIL(イラクとレバントのイスラム国)に忠誠を誓う映像が発見されたとの報道があるほか、ISIL系の通信社はISILの兵士の犯行によるものと伝えている。本誌の取材に応えた外務省は、事件の背景について情報を収集し、テロ事件か否かを慎重に確認したことで、スポット情報の発出が2日後になったことを説明した。たびレジ登録者や滞在者には、25日に在外公館から情報を発出したという。

 バイエルン州では7月18日にも、ヴュルツブルク近郊を走行中の列車内でイスラム教徒と見られる犯人による襲撃事件が、22日にはミュンヘンのショッピングモールでイラン系ドイツ人による銃の乱射事件が発生。また、26日にはドイツ南西部バーテン・ヴュルテンベルク州のロイトリンゲンでも、シリア人の難民申請者が1名をナイフで刺殺し、4名に怪我を追わせる事件が起きている。これらの事件を受けて外務省は、旅行者に対して最新情報の入手や、不特定多数が集まる場所などを回避するなどの安全対策を呼びかけている。

 日本旅行業協会(JATA)のTeam EUROPE 観光促進協議会の委員長でグローバルユースビューロー会長の古木康太郎氏は本誌の取材に応え、「ここまで立て続けに事件が発生すると、我々が旅行を企画しても消費者がついてこないのでは」と懸念を表明。一方で「後ろ向きな判断はするべきではない」とも語り、欧州の旅行商品を引き続き造成して集客に努め、消費者に最新情報を提供するために情報収集に注力することの必要性を説いた。

 同氏は、一連の事件は日本の旅行会社が造成するツアーとは無関係だったことなどを説明した上で、「旅行会社によるツアーは参加者が“安心”できるように工夫している」と主張。旅行会社が常に現地の情報収集に注力し、添乗員とも情報を共有していることを強調した。

 ミキ・ツーリスト取締役執行役員の今野淳子氏も「旅行会社のツアーであれば安否確認が迅速にできる」と説明。行程などについて工夫できるとし、「今後は消費者の懸念をどうすれば払拭するのか、お客様に聞き取りしていく必要がある」と語った。

 なお26日の時点でドイツ観光局は、一連の事件についてコメントを控えている。同局では8月22日に大阪、23日に東京でオーストリア政府観光局、スイス政府観光局と共同のワークショップを開催する予定。事件が発生した2州からは10社・団体が出展する。