スクート、タイガーエアと協力強化、持株会社制移行で
スクート(TZ)は、シンガポールのタイガーエア(TR)との協力を強化する。両社はこのほど、親会社のシンガポール航空グループ(SIA)が5月に設立した持株会社「バジェット・アビエーション・ホールディングス(BAH)」の傘下に入り、セールス機能やマーケティング機能などを統合。TZ日本・韓国支社長の坪川成樹氏は本誌の取材に応え、統合のシナジーにより「他社との競争力を高めることができる」とメリットを語った。2社のブランドについては、TZが中長距離のLCC、TRが近距離のLCCとして棲み分けていることから、統合はおこなわない方針。
TZとTRは2014年1月、政府に独占禁止法適用除外(ATI)を申請し、同年8月に認可を取得した。15年には2者間でインターライン提携を開始するとともに、シンガポール航空(SQ)のマイレージ「クリスフライヤー」を利用できるようにしたという。BAHの傘下に入った後は、2つのブランドでスケジュールや料金の調整を実施。今後は予約システムの共有化をめざす。
2社はLCC8社が5月に立ち上げたアライアンス「バリューアライアンス」に加盟しており、今後は英国のエア・ブラック・ボックス社(ABB)のシステムを活用して、予約システムの一本化をはかる。なお、アライアンス加盟会社のうち、TZとノックスクート(XW)、ノックエア(DD)の3社については、相互に予約や決済ができる。
2ブランド間でのバゲージスルーについては「技術的な問題がクリアすれば実施する予定」。また、現在TZとTRはチャンギ国際空港の第2ターミナルを、SQは第2と第3ターミナルを利用しているが、同空港では17年の開業に向けて第4ターミナルの建設が進んでいることから、ターミナルの一本化も検討したいという。
今後の日本でのセールス方針については、TRとの協力によりシンガポール経以遠でTRを利用する乗客が増える可能性を説明。ただし、日本路線は台北、高雄またはバンコクを経由することから、「2ヶ所を経由して旅行する需要はそれほど多くないのでは」との考えも示した。
坪川氏は「利用する大型機材の座席を埋めるため、人数を追うことも重要」と語り、今後は引き続きTZの日本路線の経由地である台北およびバンコク、そしてシンガポールへの需要の取り込みに注力する方針を述べた。
なお、TRは中距離路線も運航できるエアバスA320型機を保有しており、坪川氏によるとシンガポール/那覇線の開設が可能。ただし日本路線の就航については「検討したこともあったが、現時点で具体的な計画は何もない」という。