週間ランキング、1位は「ふっこう割」、英国離脱影響も
[総評] 今週の1位は、地震に見舞われた九州への旅行需要を喚起する「ふっこう割」をご紹介した記事が1位でした。Yahoo!ウェブサイトでご紹介いただいたようで、旅行業界の本来的な興味は2位に入ったジェイティービー(JTB)の不正アクセス問題の方でしょう。
しかし、それにしてもYahoo!の記事に付いているコメントの低劣さには驚きます。記事は中国からの需要喚起のために補助金が出る、といった内容で、コメントはそれを批判するものが大多数ですが、記事の中身を本当に確認してから書いているのか、その根拠はなんだと思うものが多く、批判や主張には責任が伴うという意識があまりにも低いのではないかと感じます。
批判することを問題視しているのではありません。自分の論拠が本当かどうかを確かめていない、反論の余地を検討もしていない、要するに練っていない主張を品のない言葉で衆人の目に触れさせる、あるいはそういった主張を何の気なしにシェアすることがいかに恥ずべきことか、あえてこの表現を使えばいかに日本の「民度」を低くせしめているか、冷静に客観視してみてほしいのです。
批判という意味では「マスゴミ」という表現がうまれて久しいですが、確かにその言葉の裏にある批判の一部というか結構な部分は的を得ているように思います。個人的経験として、ある事件に巻き込まれて亡くなった方の葬儀に参列した際、さもいたましいと思っているかのような顔で近づいてきて、事件と全く関係ない故人のプライベートなことを聞こうとしたテレビレポーターのことは、10年以上も前のことながら今でも強烈な嫌悪感とともにはっきりと思い出されます。
また、トラベルビジョンを「“マス”コミ」といっていいのかわかりませんが、我々も業界誌として、あるいはメディアとして改善していかなければならない点が多々あることは自覚しています。ことほど左様に、読者に情報をお届けするという責任ある役割を担うメディアは、常に自戒し周囲からの意見にも真摯に耳を傾けなければなりません。
しかし、一方ではYahoo!やFacebookなども立派なマスメディアであり、そこを通して不特定多数へ言葉を発信するという行為は文字通り「マス」への「コミュニケーション」です。人の振り見て…ということわざがありますけれども、少なくともそういった手段で何かを批判する場合には一度立ち止まって考えてみるべきです。
先週の国民投票でEU離脱派が勝利した英国では、離脱に支持した有権者がまさか勝つとは思わなかったと慌てふためいていると聞きます。無関心よりも行動する方がましであると思われますが、外野気分で野次を飛ばしたり、自分に累が及ぶことはないとノリや面白半分で動いていると、手痛いしっぺ返しをくらうかもしれません。
なんとなく、いくらなんでもこれは変わらないだろうという無意識の前提条件のようなものが、実はたやすくなくなるのかもしれないと思わせられることの多い昨今です。7月10日の参院選に向けて選挙ポスターなどを見る機会が増えてきましたが、以前に比べてエキセントリックな内容がたくさん目につきます。
泡沫候補だったはずの米大統領候補の例もあります。どんな未来を誰に委ねるのか、自分の将来に直接関わることを意識して一票を投じましょう。(松本)
▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2016年06月24日0時~07月01日18時)
第1位
◆旅行各社、九州支援に向け「ふっこう割」商品発売(16/06/28)
第2位
◆JTB、不正アクセス問題で再び会見、情報は「客観的に見て流出」(16/06/26)
第3位
◆イスタンブール空港で自爆テロ、日本線は早期再開へ(16/06/29)
第4位
◆日旅新社長、「オンリーワン」めざす、他業種とコラボも(16/06/30)
第5位
◆JATAが緊急の「欧州復活フォーラム」、独自性追求へ(16/06/26)
第6位
◆全日空、羽田米国線のスケジュール発表、利便性重視(16/06/29)
第7位
◆現地レポート:カンボジア、増えるアンコール・ワット以外の魅力 (16/06/28)
第8位
◆観光庁、旅行会社と「情報共有会議」、JTB問題受け(16/06/28)
第9位
◆英国がEU離脱へ、関係者からさまざまな不安-決定直後の反応(16/06/25)
第10位
◆全日空、社内外でLGBTに対応、マイレージ登録など(16/06/27)