日旅新社長、「オンリーワン」めざす、他業種とコラボも
日本旅行の新たな代表取締役社長に就任した堀坂明弘氏は、6月30日に開催した記者会見で今後の方針を語った。堀坂氏は「旅行業界は厳しい環境にあり、ビジネスモデルも従来の延長線上ではなかなか立ちゆかない」と述べた上で、「業界の第1位になる、という考え方もあるが、むしろ我々の強みがある分野や切り口で、他に追随を許さない『オンリーワン』をめざしたい」と意気込みを示した。
日本旅行は13年度から、4ヶ年の中期経営計画「ACTIVE 2016」に取り組んでおり、16年は最終年度。会見で同席した、前代表取締役社長でこのほど代表取締役会長に就任した丸尾和明氏は、海外旅行など落ち込んだ部門もある一方で「計画は全体的に順調に進んできた」と振り返った。
丸尾氏は、16年が17年以降の中期経営計画を策定する重要な時期であることに言及した上で、「JRで営業に精通した新社長がいることは、私にとっても会社にとっても大きい」とコメント。堀坂氏にエールを送った。なお、丸尾氏は引き続き、日本旅行業協会(JATA)などの役職を務め、訪日旅行や地方創生の促進に向けた体外的な活動に取り組んでいくという。
堀坂氏は次の中期経営計画について、訪日旅行事業、BTM、MICEの3点を強化する方針を示した。特に訪日旅行事業とBTMは「業界を見渡しても他社と遜色のない力をつけてきている」ことから、引き続き注力する。加えて、西日本旅客鉄道(JR西日本)をはじめとしたJR各社との連携を強化し、地方創生や日本版DMOの推進についても積極的に取り組む。同氏はJR西日本で2年間営業本部長を務めたことや、13年から日本旅行の非常勤取締役を兼任していたことについて語った上で「こうした経験を活かしながら私なりのカラーを出し、しっかりと舵取りをしていきたい」と話した。
堀坂氏は旅行業界を取り巻く現状については、旅行者のニーズが多様化してきている点を指摘し「新たな価値を創造し、新たなサービスを提供していくことが重要」と強調。将来の会社の成長を見据え、他業種と連携して新たな商品やサービスを積極的に展開していく考えを述べた。
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